Go to contents

[オピニオン]失郷民団体、初の政治声明

[オピニオン]失郷民団体、初の政治声明

Posted June. 18, 2009 08:14,   

한국어

子どもの頃に見た竹やりだった。真っ赤な旗も一緒だった。約60年前、以北の共産主義者らは竹やりで、人民裁判で無慈悲にその親と兄弟の命を奪っていった。いくら故郷だとは言え、もうその地では生きられず、身体ひとつで越南し、大韓民国をこれほど発展させた。にもかかわらず、ソウルの中心で再び竹やりと旗が登場するなんて。60年あまり前、失郷民団体が組織されて以来、初めて、一昨日「大韓民国のアイデンティティ確立のための800万以北道民政治声明」と出したチェ・ミョンサム以北道民会中央連合会代表(84)は、「もう黙っているわけにはいかず、行動を起した」と話した。

◆「誰よりも北朝鮮の実情に詳しい我々としては、昨今の流れを見ると、暗たんたる気持ちになるということしか言えない。漢江(ハンガン)の奇跡が『民主主義の後退』だとしたら、金日成(キム・イルソン)王朝の3代世襲は民主主義の進歩なのか」。咸境北道(ハムギョンブクド)道民会長のチェ代表は激昂していた。「約60年前も腕章をつけた勢力が『金日成将軍さま』と最上の尊称を使いながら、李承晩(イ・スンマン)は裏切り者だの、人殺しだの、売国奴だのとこき下ろした。今も旗を持ち上げた勢力は、金正日には総書記をつけながら、国民が選んだ大統領には口にすることすら恥ずかしい毒舌を浴びせている」。

◆故郷が懐かしくても行けない悲しさはその身になってみないと分からない。南韓の人々は盆や正月のたびに道が込むとして、「故郷への道は地獄の道」「帰京戦争」など贅沢な事を言っているが、行けないからこそ懐かしさが胸に染みるところが、北側にある故郷だ。失郷民が一番憤りを覚えているのは、錦繍江山だった故郷が核の基地に化けたことだ。同族が飢えに苦しんでいることを承知の上で、「北朝鮮が核を廃棄するまで全ての対北朝鮮支援を中断せよ」と促したのもこのためだ。

◆天外孤独の身で越南し、どこにも頼れず自らの力だけで成功を手にした以北出身の人々は、自分の目で確認したこと、自分の手で握ったことだけを信頼するほど現実的だ。「太陽政策」では北朝鮮の赤化統一の野心をくじくことができないことをあまりにもよく知っていながらも、左派政権の10年間、彼らは口をつぐんでいるしかいなかった。ところがそのいっぽうでは、一部の政治勢力と大学教授、親北団体がアスファルトの上で堂々と金正日政権を擁護している。チェ代表は問う。「自由民主主義と市場経済を守りながら今日の大韓民国を作るために奮闘してきた結果がこれなのか」と。今度はアスファルトの上のあなたたちが答える番だ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com