来年度予算案が国会で可決されたことを受け、284兆5000億ウォンの予算執行権が政府のほうに移されることになった。新年度予算は、経済活性化をはじめ、流動性問題で苦しんでいる中小企業への支援や低所得層への社会安全網の整備など、経済危機の克服に焦点をあわせている。当初の成果をあげることができるよう、迅速かつ有効な執行が求められる。
今回の予算で特に注目されるのは、景気てこ入れのためのインフラ予算が大幅に増額されたことだ。インフラ予算は今年度より26%増の24兆7000億ウォンで、この5年間の平均伸び率2.5%を大きく上回っている。民間の投資余力が底をつき、財政の役割の重要性がさらに増すことになった。道路網と鉄道網の充実などに資金が投入されれば、経済活性化や雇用創出に役立つことになるだろう。国策銀行や保証機関への出資を拡大し、中小企業に供給できる資金も確保した。これらの措置が減税と並行して行われれば、効果は一段と大きくなるだろう。
これまで、政府が打ち出してきたさまざまな景気関連対策が功を奏していないのは、国会で予算案やその付随法案が可決されなかったせいも大きい。しかし、もはや責任を転嫁できるところなどない。李大統領が昨日、緊急拡大経済対策会議を開き、予算の前倒し執行を指示したことや、経済関連省庁の新年の業務報告を繰り上げて18日から受けることにしたのも、その所以である。政府は来年上半期中に財政の60%、特に金融危機の克服や雇用創出関連事業は70%まで実施することにした。
未曾有の経済危機の状況では特段の予算執行が必要となる。予算執行と関連した行政手続を大幅に簡素化しなければならず、数よりは選択と集中の投資が行われるようにすべきだ。それでこそ効果を最大化することができる。財政を実施しても実際、効果が現れるまでは相当時間がかかるため、そのことまで考慮して、早期実施のスケジュールを組まなければならない。
韓国銀行の予測どおり、来年の経済成長率が2%に止まる場合、内需低迷や雇用事情の悪化で、「最悪の端境期」を迎える覚悟をしなければならないだろう。政府は、予算の適期適所への投入に国も命運がかかっていることを忘れてはならない。また、国会で眠っているさまざまな経済再生法案の速やかな処理にも、与野党が力をあわせて全力を傾けるべきだ。






