韓国内の金融市場はグローバル金融危機が起きると、株安やウォン安ドル高が共に進み、経済規模や環境の似ているほかの国々よりさらに大きな打撃を受けた。今年初頭から8月まで、計125億ドルへと膨らんだ経常収支の赤字は、国際金融界が韓国の支払能力に疑いの目をかけるきっかけとなった。世界第6位の外貨保有高も、対外均衡の崩壊を表す数値の前ではまともに巧を奏することができなかった。
金融市場では来月末ごろに発表される10月の経常収支の統計がどのように出るのか、注目している。政府は国際原油価格の下落で原油の買い付け価格が下がった上、ウォン安ドル高で海外旅行も減り、今月は経常収支が小幅ではありながら黒字へと転ずるものと見ている。今年に入ってからは5月を除いて、赤字が続いてきた貿易収支も、今月には10億ドル前後の黒字を出すものと見られる。原油の輸入額が9月の80億ドルから今月は65億ドル程度へと減ったためだ。
経常収支の黒字は対外信任度に前向きな影響を及ぼし、韓国経済への海外の見方を変えるきっかけとなり得る。ドル流動性の需給を巡る不安をなだめ、依然パニック(心理的な恐慌)の余震が残っている外国為替市場の雰囲気を落ち着かせる効果も期待できる。
しかし、今月の経常収支が黒字を出しても、輸出増大による成果ではないだけに、不安定な黒字に過ぎない。米金融危機の影響で対米輸出の萎縮が本格化している上、中国への輸出増加の勢いも鈍りつつある。来年は世界の実体経済の低迷で、先進国への消費財輸出や発展途上国への中間財や資本財の輸出が共に減少するものと懸念される。
政府は輸出増大を危機克服の中核対策とすえて、金融や税制などで業界に実質的に役立つ政策を展開しなければならない。各銀行も貿易金融から輸出企業の苦しみを減らせる余地はないか、細心の目を配るべきだ。外貨が無駄遣いされる穴を塞ぐのは、全ての経済主体の役目だ。海外観光をできるだけ国内へと回せば、昨年、サービス収支から205億ドルも流れた外貨支出を減らすことができる。輸入品を国産品へと取り替える小さな努力が重なれば、貿易収支の黒字を少しでも増やすことができる。
国際収支の黒字基調を定着させ、国内への充実を図ることこそ、海外に端を発した小さな衝撃にも市場が揺さぶられる悪循環を断ち切る確実な方法だ。