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[オピニオン]地域祭りの競争力

Posted October. 21, 2008 09:32,   

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フランス南部にある静かな小都市アビニヨンは、7月になると活気にあふれる。ここで開かれる「アビニヨン演劇祭」が世界的な名声を得て、50万人の観光客が一度に押し寄せる。演劇祭の間、宿泊施設やレストランは特需を受け入れる。ドイツ・ミュンヘンで開かれるビール祭り「オクトーバーフェスト」は、年間600万人が集まるほどだ。いずれも成功した地域祭りの事例に挙げられる。韓国も、毎年全国の地方自治体を中心に、1100以上の祭りが開かれる。地方人口のソウルへの流出を防ぎ、地域経済の活性化を図るという趣旨からだ。

◆米国の地域祭りが2万5000、日本では1万の地域祭りに比べると、韓国の祭りはそれほど多くはなく、祭りの内容が似通っていて、否定的な世論が多い。どの祭りも、のど自慢や芸能人の招待、民俗遊びなど、似たり寄ったりの行事で、行事会場や売店で販売する記念品もどこも同じだ。がっかりした観光客の足は徐々に減り、赤字となり、これを地方自治体予算で補てんする悪循環が繰り返される。

◆外国の地域祭りは、住民の手で長年にわたって発展してきたが、韓国は地方自治制の導入後、官主導によるにわか造りの観がある。自治体首長らが次期選挙を意識して、最大限規模を大きくしようとし、近隣都市の祭りから、自分たちもしなければならないという競争心理も作用して、「中身のない祭り」が量産されているのだ。歴史的に、祭りは地域と住民の和合のためのものだった。祭りの基本に立ち戻る必要がある。ほかにはない長所を生かし、独特の文化を育成する方向に重心を置かなければならない。

◆「アビニヨン演劇祭」と「オクトーバーフェスト」は、演劇とビールという一つのテーマに集中して成功した。有名な札幌雪祭りや、リオのカーニバルも、雪とサンバで名声を得た。韓国も規模に執着するのではなく、小さくても人の心を捉える「コンテンツのある祭り」を育てていかなければならない。韓国は世界の観光業界から、「観光資原が貧弱で、見るものがあまりない」という声を聞くという。そんな言葉が出ないように、地方自治体で世界に誇れる祭りを出してほしい。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com