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[オピニオン]100メートルを11秒17で走りぬいた義足

[オピニオン]100メートルを11秒17で走りぬいた義足

Posted September. 13, 2008 08:57,   

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9日、北京パラリンピックの陸上100メートルで、オスカー・ピストリウス(22)が両足に義足をつけて走り、11秒17を記録して優勝した。駿足のサッカー選手の100メートルの記録が11秒台というから、「生体の足」でも出し難い速度だ。北京五輪100メートルで世界新記録をマークしたウサイン・ボルト(ジャマイカ、9秒69)より1秒48、女子陸上100メートル金メダル(10秒78)より僅か0.39秒遅れる記録だ。

◆ピストリウスが頼りにしているJ型の先端義足は、炭素繊維で製作され、膝とお尻の衝撃を吸収し弾力もある。底にはサッカーシューズのようにスパイクが施されている。アイスランドのオスール社の製品で、障害を持つ多くの陸上選手が使用する。しかし、米マイアミ医学大学ロバート・ゲイリー教授は、「正常な足は土に付いた後、弾力をつけてエネルギーを240%まで使うが、義足は再び飛び上がる時に土に付く時のエネルギーのうち80%ぐらいしか使えない」というデータを示した。その分、顕著に不利にならざるを得ない。

◆ピストリウスは生まれた時から両足の脹脛の骨がなく、生後11ヵ月の時に膝の下を切断した。子どものごろから義足を足代わりにして、ラグビーや水球などのスポーツを楽しんだ。今回の優勝の後、「足が正常だったらという残念が気持ちはなかったのか」という記者の質問に対して彼は、「(そのような考えは)非障害人が僕を見ながら『義足をつけて走るのはどうか』と聞くのと同然だ。僕は僕だ」と答えた。

◆彼は先月北京五輪に参加して、非障害人の選手らと陸上400メートル予選で競ったが、基準記録をクリアできなくて脱落した。しかし、記録が引き続き縮まっているため、いつからは彼がウサイン・ボルトと競争する姿が見られるかも知れない。勿論、ピストリウスがいくら踏ん張ってもウサイン・ボルトを勝つのは厳しいだろう。しかし、義足で走る彼が予選をパスして、スタートラインにボルトと並んで立つのは完全に不可能でもないようだ。不屈の挑戦精神と根気強い努力がスーパーマンを生むという事実を、ピストリウスが再び人類に知らしめている。誰でも挫折しければ、希望がある。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com