Go to contents

[オピニオン]大統領府の警護室というところ

[オピニオン]大統領府の警護室というところ

Posted September. 11, 2008 09:05,   

大統領ボディガードが、黒いスーツ姿にサングラスやイヤホンをし、緊迫した表情で四方を警戒する姿は、映画シーンのように格好よく映る。しかし、ボディガードの24時間は、片時も油断してはならず、有事の際には体を投げ出す覚悟でしなければならない。「ボディガードらは毎日、大統領の代わりに死ぬ練習を行う。警護室の職員らの家族を招いて訓練を行う際、会場は涙の海と化したりする。息子や夫が大統領を守るため、飛んでくる銃弾に立ち向かう場面を目にし、感情を抑えきることなんてできるはずがない」。これは元大統領のボディガードの言葉だ。

◆1974年8月15日、独立記念日記念式典の会場で起きた陸英修(ユク・ヨンス)大統領夫人狙撃事件で、ボディガードが体を張って、防御をした場面を覚えている人も大勢いるだろう。ボディガードは片時も油断してはいけないことを見せ付ける現場である。車智𨩱(チャ・ジチョル)元警護室長は在職当時、「閣下を守ることは国を守ることだ」という標語を執務室に掲げていた。そんな彼も、1979年10月26日、金載圭(キム・ジェギュ)中央情報部長の銃弾から、朴正熙(パク・ジョンヒ)大統領を守ることはできなかった。大統領の警護に100%の安全はありえない。

◆大統領府の警護員らは警護の勤務中でなくても、厳しい教育訓練の日程の中で、厳しい生活を送っている。精神や体力管理のためだ。公私の生活で緊張感を緩めたり、弱点を見せてはならない。大統領府の外にいても、常に緊急連絡ができるよう「通信待機」状態を保たなければならない。酒の用心はもとより、部外者との接触もできるだけ慎むべきだ。些細な警護員らの油断が、大統領の身にまで影響を及ぼしかねないからだ。

◆大統領府に派遣された警察の警護警備総責任者(警務官)が、女性の警護員にわいせつな行為を行い、派遣勤務が解除された。6日、李明博(イ・ミョンバク)大統領が出席した警護示範行事後の飲み会で、女性の警護員と酒を飲み、度を過ぎた身体接触をしたという。派遣警察官の突出行動だと軽く見過ごせない。大統領の警護員らの綱紀に隙間ができれば、国家の安全危機へとつながりかねない。李大統領は示範行事を見守った後、「(警護と関連して)警護室のアドバイスに耳を傾ける」と述べた。大統領の激励を受けた直後にあのようなことが起きたのだから、事柄はさらに深刻だ。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com