金成浩(キム・ソンホ)前法務部長官は中学校の卒業証書を持っていない。家計が傾き学費を出さなくてもよい公民学校に通わざるを得なかったからだ。釜山(プサン)のその公民学校は二つのクラスだけで、一つのクラスは車庫で、他のクラスはテントの中で授業をした。当時、金前長官は、豊かな小学時代の同窓生の家で住み込みの家庭教師になって、宿泊の問題を解決した。
◆金前長官が、高校1年の時に公民学校がブニエル実業高校として正式認可された。お陰で高校の卒業状はある。学校には観光科と商業宣伝科、二つのクラスしかなかったが、金前長官は観光科を卒業した。大学に入りたかった金前長官は学校でソロバン、簿記、音楽、美術、民俗大要などを学び、家に帰っては英語、数学を勉強した。金前長官が高麗(コリョ)大学を選択した理由は、当時、高麗大学の本考査に第2外国語の科目がなかったからだ。
◆検事になった金前長官は現政権で二度も検察総長の有力な候補に取り上げられたにかかわらず、夢を実現することができなかったが、結局は法務部長官になった。昨年8月から1年間在任しながら金前長官は、「法治」を特に強調した。「不法ストで給料が上がってはならない。熱い暖炉に触れば手をやけどしなければならない」というのが持論だった。「企業しやすい法的環境」を作ることも関心事だった金前長官は、商法の改正案を国会に提出したが、議論さえできなかった。この法案は今度の国会で自動に廃棄される運命だ。
◆金前長官が大統領府の386世代たち若手との葛藤をもたらし、長官職から退いたため「野党の公認を受けて総選挙に出馬するだろう」という観測があった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は与党での出馬を勧めたりした。しかし、金前長官は他の仕事を始めた。昨日、財団法人「幸せな世の中」を創立したのだ。法の支配、企業しやすい環境、弱者及び庶民生活の安定など財団の活動方向は、長官時代の仕事と同じだ。法治、経済の豊かさ、安定などが幸せを作る中心要素と考えたからだ。しかし、時にはシンクタンクに、時には行動する団体にその役割が変わるという。金前長官は意志で逆境を乗り越えた人だ。金前長官の努力が無駄にならず、金成浩発の「幸せな世の中」が早く訪れることを期待する。
虚承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com






