一戸以上の住宅を保有する富裕層が総合不動産税の負担に耐えきれなくなり、多くの物件が売りに出された結果、年末には住宅価格が下落に転ずるとした政府の予測が外れた。不動産業者は「総合不動産税の課税基準日である6月1日以前に売り物件が急増するとみていたが、むしろ減った」と市場の空気を伝える。いわゆる「バブルセブン」(住宅価格が急騰したソウル市内7地区)地域の住宅価格は、昨年初頭に比べるといったん落ち着いたようにみえるが、売り物件が多いためというより、取引がなされていないためだ。
◆住宅一戸に重い総合不動産税を課した上、譲渡所得税率まで引き上げたのは、住宅売買への意欲を絶ってしまう措置だ。物件が出ないのも無理はない。譲渡所得税を負担に思い、住宅を売れずにいる人が多いのに、住宅価格が下がるはずがない。大統領選挙が終わり、新政権が発足すれば1世帯1住宅に対する過度な総合不動産税率が引き下げられるか、譲渡所得税が軽減されると期待する人々までが、売買を見合わせている。
◆今年、総合不動産税の課税対象世帯あたり税額が平均40%増加したのだから、「税金爆弾」にほかならない。総合不動産税爆弾の最大の被害者は、投機とは縁遠い「1世帯1住宅」の実際の需要者と経済的弱者である借家人だ。複数の住宅を保有し、税金爆弾を投げつけられた人々は、その負担を借家人に転嫁する。税金は往々にして政策の意図や立法の趣旨から離れてこのように予想外の被害者を生むものだ。1990年、米議会は納税余力のある富裕層から税金をより多く徴収するためヨットを対象にぜいたく税を課す法を制定した。これを受けて財産家たちはヨットを買わず、別のものに金を使い始め、ヨットメーカーの労働者が仕事を失う結果を招いた。
◆正しい動機でつくられた政策が必ずしもいい結果をもたらすわけではない。政策当局者たちは、市場原理とマネーの摂理をよく理解した上で、政策への抵抗も考慮に入れて政策を策定しないと、成功の可能性は低い。いくらもっともらしい名分を掲げても、政策の対象となる国民の「欲」を無視する政策は成功しない。しかも、総合不動産税はその動機さえも不純だった。国民を「持つ者」と「持たざる者」に二分化し、多数の国民の「妬み」を悪用しようとする意図が底流にあった。なまじっかな左派政権の無謀なアマチュアリズムは、1世帯1住宅の中間層と借家人たちの痛みを膨らませただけだ。
許文明(ホ・モンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com






