水害で膨大な被害をこうむった北朝鮮では、猛暑まで加わり、伝染病への懸念が広がっていると、国際赤十字連盟(IFRC)が、最近、明らかにした。下痢患者が20%も増え、免疫の弱い子供たちの間では、急性呼吸器疾患も続出しているという。しかし、北朝鮮には医薬品がなく、多くの住民はきちんとした治療も受けられず、命を落としている。一方、医薬品市場10兆ウォン規模の韓国では、1年間に廃棄される医薬品だけでも500億〜800億ウォンに上る。保健福祉部では23日、北朝鮮の水害地域に4億8000万ウォン相当の医薬品を送る計画だと発表したが、北朝鮮での必要量には程遠い。
このため、北朝鮮がこれまで要請してきた使用期限の切れた医薬品の支援が必要だという声もあがっている。
▲法律と道義の間の問題〓北朝鮮の赤十字会では2月15日、韓国側の平和問題研究所を通じて、韓国製薬協会に「要望書」をファックスで送ってきた。「先生方もご存知のように、わが北朝鮮では医薬品が非常に不足している」とした上で、「韓国で使用期限が切れ、廃棄処分する医薬品を、北朝鮮に送ってくれれば、期限が切れているために起こるすべての問題はわれわれが責任を取る」という内容だった。
北朝鮮赤十字会ではまた、韓国側の医薬品について、「同じ民族、同じ血を分かち合っているためか、わが人民の体質には最も適している」とした上で、「中国の薬は、体質に合わないうえ、偽物が多くて困るが、韓国で製造した医薬品(使用期限切れから6ヵ月、または1年前のものでもいい)はわれわれには非常に貴重な薬品となる」と切羽つまった北朝鮮の事情を訴えた。
しかし、韓国では残念なことだが、使用期限の切れた薬品を、法律上や道義上の問題から、送れないのが現状だ。
▲人道主義的な考慮〓薬がなくて命を落としていく北朝鮮の同胞たちを、手をこまねいて見ていることが果たして、人道主義の精神なのか、という反論もかなりある。
多くの医薬品は、使用期限が切れても副作用はないというのが専門家たちの所見だ。申鉉澤(シン・ヒョンテク)淑明(スクミョン)大学医学情報研究所長は、「多くの薬品は保存状態さえよければ、使用期限が切れても効力が少し落ちるだけで、人体には無害だ」と解説する。
食品医薬品安全庁長を務めた沈昌求(シム・チャング)ソウル大学薬学学部教授も、「多くの薬は使用期限が切れても、毒性は生じない」とした上で、「米国流の安全基準の是非を問うことで、多くの人々を見殺しにするわけにはいかない」と話す。
▲法律と人道主義との折り合いをつける名案は?〓このように法的制約や人道主義のぶつかりあうジレンマを克服できる名案は、はたしてないものだろうか。医薬界の専門家はそれなりのアイデアを出している。
チョン・ミョンチョン大韓薬事会・薬局委員会次長は、「専門医薬品だけでも、使用期限に達していない状態で廃棄される『開封不用除去医薬品』は04〜05年の会計年度だけでも140億ウォン規模に上る」と語る。
「開封不用除去医薬品」とは、開封したものの処方箋の変更で使用を中止した医薬品を言う。製薬会社に返品され、多くは廃棄処分となるこのような医薬品は北朝鮮に支援できるというわけだ。
また、薬品によって差はあるものの、薬局では普通、使用期限まで2ヵ月ほど残っている薬品を製薬会社に返品する。国内2万以上の薬局で、北朝鮮への支援に参加し、「使用期限切れにしない」キャンペーンを行い、速やかに薬を返品し、製薬会社が期限切れになる前に収集すれば、使用期限が切れていない医薬品を北朝鮮に送ることができる。
もちろん、この場合、製薬会社では返品量が増え、一定の負担は強いられることになる。このため、製薬会社の積極的な参加を引き出すためには、政府が製薬会社に北朝鮮への医薬品支援と連動した補助金を与える案も検討できるというのが、韓国製薬協会側のアイデアだ。
zsh75@donga.com






