Go to contents

[社説]「企業に厳しい」住みよい国があるか

[社説]「企業に厳しい」住みよい国があるか

Posted March. 21, 2007 07:13,   

権五乗(クォン・オスン)公正取引委員長があるインタビューで「韓国の社会が『企業にやさしい国』の魔法にかかっている」とし、「『(これは)声の大きい一部大企業にのみ恩恵が回る国を作ろう』ということに映りかねないため、望ましくない」と述べた。「企業にやさしい」を「大企業にのみやさしい」と誤導する言い方にびっくりさせられる。権委員長自身が、事あるごとに「政権コード」の魔法にかかっているのではないだろうか。

一流国家は政府規制の緩和、親企業環境の造成、税金の軽減などを通じて、「企業にやさしい国」を「さらに企業にやさしい国」にするために余念がない。米国ヘリテージ財団によれば、韓国の経済自由指数は世界157ヵ国の中で36位だ。過度な政府規制こそ、世界10位圏の経済大国を成し遂げた韓国の企業にとって、一番大きな障害だ。

権委員長は、「企業にやさしい国よりも消費者、国民が暮らしやすい国にしなければならない」と主張した。馬車を馬より前に置くという格好だ。企業に厳しいのに、どうやって消費者と国民が暮らしやすくなると言うのか。権氏は金成浩(キム・ソンホ)法務部長官が企業の申し入れを受け入れて二重代表訴訟制の導入をやめたことに対する不満も示した。

「住みよい国」を嫌う国民はいないだろう。そのような国になるための世界的に検証された方法は、企業にやさしい国を作ることだ。そうしてこそ、投資が促され、さらに多くの雇用が生み出され、国民所得が増える。国民の暮らしの質を改善する最も確実な方法だ。しかし、現政権は反対方向に走ってきた。

「両極化の解消」が掛け声だけでできるはずがない。「企業にやさしい国、投資したい国」を作るのが「両極化緩和」の道だ。であるのに、政府がこれに逆行する政策にこだわっているから、貧困層が減るどころか増えているのだ。

企業の経営環境は日増しに悪化している。「輸出チャンピオンの韓国、行く道を失う」という海外マスコミの報道どおり、先進国と開発途上国、中国と日本の間に挟まれた「サンドイッチ」状態だ。未来の成長エンジンは見つからぬまま、大企業の収益率まで悪くなっている。このような状況の企業に冷や水を浴びせるのが公正取引委員会の役割なのか。

昨日就任した趙錫来(チョ・ソクレ)全国経済人連合会会長は、「自由市場の経済秩序の確立に向けて声をあげ、企業にやさしい制度の定着のための改善作業に突入する」と明らかにした。財界のこのような意気込みに政府がまた冷や水を浴びせるのではないか、やきもきするばかりだ。