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[オピニオン]長く生きたゲーテ

Posted February. 12, 2007 07:41,   

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愛するほどには愛されない苦痛を描いた小説『若きウェルテルの悩み』に匹敵する作品を見つけることは難しい。ドイツの文豪ゲーテは、友人と自分の失恋の経験をもとに完成させたこの小説で、若干25歳で一躍文壇のスターになった。しかし、時代との不和や叶わぬ恋に悩んだ主人公ウェルテルが銃で命を絶つシーンは、多くの模倣自殺を生んだ。結局、同小説は欧州の一部地域で発行が中止になった。

◆小説の中の若きウェルテルは自殺を選んだが、ゲーテ自身は83歳まで生きた。彼は人生と宇宙、政治と女性に対する果てしない探求と熱情を抱き、裕福に暮らしてこの世を去った。2度の結婚生活以外にも、多くの女性と恋愛を楽しみ、旺盛な作品活動を行なった。ゲーテと親しかったドイツの代表的厭世哲人ショーペンハウアーは生涯、人生と女性を呪って暮したが、コレラを恐れてフランクフルト・アム・マインに逃げるように移住し、同地で余生を過ごした。当時としては短くない72歳まで。

◆「ウェルテル効果」という言葉は、有名人が自殺する場合、連鎖自殺が増える現象を言う。一昨年2月、映画女優の李・ウンジュさんが自殺した後、国内でもそんな現象があった。警察庁が集計した同年2月の自殺者数は738人だったが、李さんの死が集中的に報道された後の3月の自殺者数は1313人と、前月の1.78倍だったという。歌手のユニさんに続きタレントのチョン・ダビンさんの自殺で、再びウェルテル効果という言葉が浮上した。価値観が混乱し、模倣心理も強いため、同調自殺は杞憂ではないかも知れない。

◆「自殺は社会的殺人」という言葉がある。自殺の多い社会は健全ではないという意味だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国で、2年間自殺率1位を記録した韓国に投げかける言葉のようだ。先週ある裁判で、判事は被告に「自殺(チャサル)」を10回言うように言った。逆さに読めば「生きよう(サルジャ)」であることを分からせるためだ。米国の思想家エマソンは「模倣は自殺だ」と言ったが、悲しくも自殺まで模倣するようになったのだ。20代で生きるだけは生きたとは言えないだろう。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com