「真実和解に向けた過去事整理委員会」が昨日、維新政権時代の緊急措置違反事件で有罪判決を下した判事492人のリストを公開することを決めた。リストには、現職判事約10も含まれているという。委員会の存在理由が「和解」ではないことを示す誤った決定だ。国民をまたも敵・味方に分け、さらなる対立を呼ぶだろう。
裁判に問題があったなら、再審のような法手続きを踏めばいい。そのうえ公開裁判の原則によって担当判事の名前は当初から公開されている。これを改めて集め、世間に広く知らしめるとは、政治的・政略的意図を疑わざるを得ない。当時の実定法によって裁判するしかなかった判事たちを、30年も経った今の基準で「裁き」を与えようとすることは、同委員会がこれからも類似の行為をするという信号ではないのか。
東亜(トンア)日報は、維新政権に抵抗し、言論史に類例のない白紙広告の事態を経験した。にもかかわらず、今回の判事リストの公開が正しくないと考えるのは、真の和解に逆行すると信じるためだ。
最高裁判所関係者は、「真実和解委」の判事リスト公開を「ポピュリズムになる恐れがある」と批判した。しかし、李容勲(イ・ヨンフン)最高裁判所長官が、就任のあいさつで司法部の過去事清算を約束し、過去の時局公安事件の判決文を集めて再検討することを決めたことからして、政権の過去事暴露コードに迎合した行動ではないのか、自省してみることだ。
現政権は、大統領と深い縁のある宋基寅(ソン・ギイン)神父が委員長を務める「真実和解委」をはじめ、15もの過去事関連委員会を設置し、過去事暴露に没頭している。このうち9つの過去事委の委員178人と職員149人に対し、東亜日報が市民団体に依頼して分析した結果、委員の49.4%、職員の55%が左派社会運動やいわゆる進歩団体出身者であることが分かった。保守性向の委員と職員は10人にもならない。
このように人的構成が偏っている過去事委が歴史を公正に評価することを期待することはできない。「反対勢力を裁く事実上の人民裁判」という批判が出るのも無理はない。「真実和解委」の判事リスト公開が決して終わりではないだろう。






