政府は半導体製造会社であるハイニクスの利川(イチョン)工場の増設について、「1ライン、2ラインの増設は不可で、2009年に着工する3ラインは検討してみる」と明らかにした。ハイニクスはこれで、「1ラインは清州(チョンジュ)工場に、2ラインからは利川工場に増設する」という修正案も拒否されたことになる。
ハイニクスは銅基板ワイパーを生産する計画だが、銅は特定水質有害物質19種に含まれる。問題は銅など無機物に対する国内の排出規制が「総量規制」ではなく「成分規制」方式なので、濃度や俳出量を計算せず、成分が含まれさえすれば禁止するという点だ。米国、日本、欧州連合(EU)などの先進国では汚染物質を排出量によって規制しており、「無条件不可」というやり方の規制はしない。
韓国科学技術研究院(KIST)は「銅は人にも必要な元素で河川水でも相当量検出される」とし「基準を決めて規制すべきだ」と主張した。一歩遅れて環境部も現行規制の不合理を認め、人体に対する影響などを調査し基準を作ることにした。この作業に少なくとも1〜2年はかかるので、再来年ぐらいまで待たなければならないということだ。
ハイニクスは昨年初めから利川工場の増設を推進した。にもかかわらず環境部は制度を整備する考えをもたず、今になって「判断できないので認めない」と拒否したことになる。政府の無能、無誠意、無対策のためハイニクスは「時間競争(タイミング)産業」というべき半導体の投資タイミングを逃したわけだ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は今年初め、ハイニクスを標的に「今後、首都圏内の工場増設は例外的場合を除いて認めない」と明らかにした。すると朴炳元(パク・ビョンウォン)財政経済部次官は翌日、「ハイニクス問題は単純に大手企業の首都圏での新増設問題というより上水源地域の環境規制の問題」と述べた。利川工場の投資許可をしないという事実は同じだが、地域均衡発展の論理が通りにくいので、首都圏住民の上水源保護を理由にしたという印象をぬぐえない。大統領が不可というから認められないというのが、率直な本音ではなかったろうか。
政府にハイニクス利川工場の増設を真剣に支援する意思があったなら、不合理な環境規制の問題点を浮上させ、急いで見直すべきだった。「企業にやさしい国」という現政権の宣伝は「ハイニクスに厳しい国」という現実の前に色あせてしまった。このような政府が投資促進、雇用創出、民生改善を叫ぶから、国民が冷笑するのだ。






