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[オピニオン]贈り物統治

Posted October. 17, 2006 07:07,   

「数年間、北朝鮮住民の平均身長と体重が減った。今回の決議文は、金正日(キム・ジョンイル)にとっていくらかのダイエットになるだろう」。北朝鮮の核実験への対応として国連安保理の制裁決議文が採択されたことを受け、ジョン・ボルトン国連駐在米国大使が冷ややかな感想を述べた。金総書記のための高級食材や贅沢品が北朝鮮に提供されたり販売されたりすることを禁じるという内容も盛り込まれたためだ。

◆金総書記は、数百万人の住民が飢え死にしていたいわゆる「苦難の行軍」の時にも、絶対王政時代の王や皇帝でさえ手にすることは難しかった山海の珍味に最高級品のコニャックやワインを楽しんだ。同氏が日本やフランス、イタリア出身のシェフまで抱えてむさぼった料理は、ヤシ入りフカヒレスープ、筍入りフカヒレスープ、フカヒレサザエスープといったものだった。そして軍と党の高位幹部らは、食卓を囲み、賞賛の言葉を並べる連中だ。シェフはロブスターやチェコ産ビール、タイ産パパイヤ、イラン産キャビア、日本産魚、デンマーク産豚肉といったものを仕入れるために、海外出張に出掛けていた。

◆金総書記は、最高級料理とともに、ベンツやロレックスなどの高級品で忠誠心をつなぎ止め、権力を維持する「贈り物統治」を続けてきた。金日成(キム・イルソン)主席の名が刻まれたロレックスは、「英雄」称号に次ぐ1級国旗勲章より価値があるといわれる。金総書記の名が刻まれた時計は、ほとんど側近に配られる。北朝鮮はロレックスの輸入王国である。1995年からの10年間、スイスから2400万ドル相当のロレックスを買い入れた。平壌(ピョンヤン)で見かける乗用車の2、3割はベンツだ。

◆00年の南北首脳会談の晩餐会には、七面鳥のハーブ焼き、三池淵(サムジヨン)トウゲブキ巻き、ヨモギ入り松葉餅、薬飯(もち米のこわめしに蜂蜜、ナツメ、栗、松の実などを入れて蒸した食べ物)、マス焼き、白頭山(ペクトゥサン)ブルーベリークリーム、ウズラミートボールスープが出された。酒は1980年に醸造されたフランス・ボルドー産のワイン、シャトー・ラトゥールだった。昨年6月、当時の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、金総書記から熊の手蒸しや人参入りフカヒレスープなどのもてなしを受けた。「贈り物は岩をも砕く」ためか、金総書記が好むような発言をする韓国人の中には、同氏が最高級の料理でもてなした人が少なくない。核実験をかばおうとする意見が韓国政府の高官の間で絶え間なく聞こえているのもその効用だろうか。

権順澤(クォン・スンテク)maypole@donga.com