米国の最高経営者の中には人文学を専攻した人が多い。米国1000大企業の最高経営者のうち、学部で経営学を専攻したり経営学修士号(MBA)を持っている人は3分の1ぐらいだ。フォーチュン誌は米最高経営者の76%が大学時代、人文学を専攻していたという統計を出した。韓国企業でも人文系出身の役員数が増えている。韓国上場会社協議会によれば、企業体役員の8%に止まっていた人文系列出身が、昨年12.2%へ増加した。
◆西洋で人文学は「ヒューマニティ(Humanity)」と呼ばれる。人間を研究する学問という意味だ。消費者の好き嫌いと心理把握が企業成功のカギとして浮上してから、人文学的な素養の深い経営者が頭角を現わしている。歴史の転機に人文学の価値はさらに高くなると言われる。中世からルネサンスへ移行する時の歴史的過程を理解していれば、デジタルの新時代がどのように展開していくかを見極める上で役立つという意味だ。
◆しかし、人文学はいつも同じところにあるのに、人間は時流によって人文学を冷遇したり、おだてたりしてきた感じを拭えない。我々の祖先が理想的な人間像として見たのは、文学・歴史・哲学つまり「文史哲」を専攻必須にして、詩・書道・絵つまり「詩書画」を教養必須に備えた人だった。「文史哲」は理性を磨く練習であり、「詩書画」は感性のための練習という点で、理想と感性が調和を成した人格体は、昔も今も相変わらず最高の人材像だ。「文史哲」がまさに人文学ではないか。
◆「ES細胞詐欺劇」や政界の低級で稚拙な「下品な言葉使いの政治」、「ウソ政治」も人間の根本、学習の基本を疎かにしたことによるブーメランだと言える。ソウル市が人文学専攻の博士課程の学生300人を「人文学奨学生」として選抜するという。人文学が「危機」の段階を越えて「空白」に至っている現在、遅れた感はあるが、国内人文学のための一筋の光になってほしい。各界は今からでも煙瓦を一枚ずつ積む姿勢で、人文学の復元に乗り出してほしいものだ。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com






