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2軍で復活目指す「悲運の投手」 チョ・ソンミン

2軍で復活目指す「悲運の投手」 チョ・ソンミン

Posted June. 01, 2005 06:41,   

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「非運の投手」チョ・ソンミン(32)。25日の昼、大田(テジョン)球場で会った彼は、「もうこれ以上傷つきたくない」と言った。まるで刺をいっぱい逆立てているハリネズミを見るような感じだった。

今月初め、韓化(ハンファ)に入団して2軍で訓練中の彼の野球人生は、勢い良く燃え上がろうとした瞬間、土砂降りに降られて消えてしまった格好だ。シンイル高校と高麗(コリョ)大学を経て、1995年に日本最高の名門球団である読売に8年契約で入団し、1998年の前半期だけで7勝(完封勝ち3回を含めて完投勝利6回)を上げたのを頂点に、以後は先の見えない下り坂の連続だった。

02年日本から帰ってきた後、国内舞台に足を踏み入れようとしたが、手を差し伸べる球団がなかった。弱り目に祟り目で、離婚に続いて事業まで厳しくなった。

自ら心の扉を閉ざしたためか。チョ・ソンミンは「インタビューは20分だけ」と前置きして、「すでに知っている内容は聞かないでくれ」と念を押した。

195センチで100キロを超える彼の体格は、思ったよりももっと大きかった。訓練開始から18日目になるが、まだウエート・トレーニングとストレッチングで体作りばかりやっている。一時期、酷い負傷に悩まされ、空白期は3年近くに及んだ。

野球にこだわる理由は何だろうか。米大リーグの「生きている伝説」リッキ—・ヘンダ—ソンは47歳の年齢にも関わらず現役でプレーする理由について、「野球を愛するから」と言った。しかし、チョ・ソンミンからは「野球を楽しめるような状況ではない。一生をかけてやってきた野球の最後がよくないという後悔と未練のため、やり直そうと思っている。傷ついた自尊心を回復するためだ」という答えが返ってきた。

昨年まで2回、プロ野球新人ドラフトに参加したが指名がもらえず、うつ病まで経験したという。「2、3ヵ月ぐらい家から一歩も出なかった。本当にこれぐらいしかできないのかと絶望し、後は諦めた」。

再起する自信があるかと聞くと、彼は「1軍の試合に出場できないまま終ってしまうかも知れない。しかし、結果がどうであれ、挑戦する機会が得られたので、自分自身は納得できるだろう。だから、未練も後悔も残らないと思う」と話した。

嫌がるのを説得して写真を取る際に趣味を聞いたら、「以前は歌を歌うのが好きだったが、今はない。僕の人生はどうしてこうなったんだろう」と独り言をいった。

球場の外の広い駐車場には彼のグレーの車、BMW325ciのみが止めてあった。長い間放置していたようで、車は埃をいっぱいかぶっていた。ソウルに帰る途中、ずっとチョ・ソンミンの最後の言葉が頭から離れなかった。「これまで心から僕のことを心配してくれた人はいなかった。一人である方がむしろ気楽でいい」。



金晟圭 kimsk@donga.com