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[オピニオン]裸足の聖者

Posted December. 23, 2004 23:04,   

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フリーランサーのプロデューサー金ウヒョンさんがチェ・チュンソンさんの汚く荒れた裸足に出会ったのは1995年初夏のことだった。変わった身なりをして地下鉄でよく理解できない言葉でキリスト福音を伝える老人に、いつの間にか惹かれていった。真冬にも裸足で歩き回る崔さんを、人々は狂信者または気違い扱いをした。チェさんはカメラに向かって「南北が統一するまでは絶対靴を履かない」と叫んだ。

◆金プロデューサーは以後6年にかけて崔さんを追い続け、2年間の編集期間を経て03年夏、『八福』というタイトルの34分ものドキュメンタリーを完成した。その過程で金プロデューサーはチェさんが「ミスコリア柳𨛗順(ユ・グァンスン)!Why Two Korea」「ミスターコリア安重根(アン・ジュングン)!Why Two Korea」と叫んだ理由を悟る。「安重根や柳𨛗順のような人が真の韓国人であり、そのような人ばかりいれば、韓国が2つに分かれる理由もない」という意味だったのだ。祖国分断の痛みを分かち合うために30年以上裸足で歩いていることも分かった。

◆ある日、チェさんの自宅を訪問した金プロデューサーはもっとすごい事実に出会う。チェさんは立派な一戸建て住宅に住んでおり、5人の子供を牧師や教授などに育てていた。チェさんは奥さんを「天使」と呼んでいた。金持ちの御曹司だったチェさんが東京留学中に神の恩恵を体験し、白凡金九(キム・ク)先生を支援した独立運動家だったという話も聞いた。遺産として受け継いだ土地は全部貧しい人や戦争で故郷を離れた人に分けてあげたという。「世の中にうらやましい人もなく、怖い人もなく、嫌いな人もない」と、このおじいさんははにかむように話す。

◆チェさんは01年9月、82歳でこの世を去った。分断の現実を恥と思って一切の補償を断った崔さんを、子孫は大田(テジョン)国立墓地第2愛国志士墓域に安置した。金プロデューサーは最近、チェさんを撮ったドキュメンタリー『八福』のDVDと語り切れなかった話を本にして出した。ドキュメンタリーはインターネットや全国の教会を通じて感動を広げている。チェさんは多分、世の中の無知と無関心の中であの世に逝った「裸足の聖者」だったに違いない。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員oscar@donga.com