民間団体と政府省庁が小中高を教科書を改訂する際、自分たちの立場を反映させるため、教育人的資源部(教育部)に教科書修正を要求する事例が大いに増えている。
このような要求は、価値観が確立される時期の青少年に正確な知識を学ばせるためのものだが、この中には一方的で検証されえない主張もあり、教科書に普遍妥当な内容を盛り込むことができるよう、十分な審議過程を経なければならないとの指摘が提起されている。
▲教科書修正を要求〓大韓商工会議所(大韓商議)は昨年10月、「現行の中高校教科書には、市場経済の基本原理と本質、実業家精神などに対する内容が絶対的に不足しているうえ、誤解される可能性のある部分もある」と教科書62カ所の修正を建議した。
教育部は教科書の著者らと協議をして、今年初め、このうち42カ所を修正した。
ソン・ヨンギ大韓商議経済教育チーム長は、「学生たちには、企業に対する正確な教育が必要なだけに、今後は教科書改訂の際、企業情報がより多く盛り込まれるよう、教育部に建議書を出す計画だ」と言った。
韓国労動教育院はある中学校の教科書に、「資本家は労動者の血と汗で腹を満たしている」と表現されているなど、現行教科書のうち37カ所に問題を提起し、今年6月、教育部から25カ所を正すという返事をもらった。
労動教育院の関係者は、「産業革命当時の問題点を取り扱った内容だが、あまりにも刺激的な表現は労資関係を理解するのに否定的影響を与えるかも知れない」と指摘した。
▲政府省庁、「うちの立場反映して」〓建設交通部は3月、国土開発関連内容を教科書に適切に反映してほしいと教育部に要請した。
防潮堤事業の終わった始華(シファ)湖が開発中と紹介されたケースもあり、板橋(パンギョ)新都市建設などが計画段階だと表現されており、国土開発状況が適確に反映されていないということ。
保健福祉部も高校教科書にだけ載せられている国民年金関連内容を、小学校と中学校の教科書にも反映し、各種社会保険制度も充分に取り扱ってほしいと要求した。
金融監督院は最近、社会問題として浮上した信用不良者などと関連し、01年から「信用教育」を教科書の内容に入れてほしいと要求し、来年から、中高校教科書に「信用不良」「望ましい金融生活」と言う主題で載せられることになった。
ノ・フィバン教育部教育研究官は、「各省庁から、教科書に必要な懸案政策を、教科書に盛り込むことができないかという問い合わせと要請が相次いでくる」と言った。
▲「間違って学べば直しにくい」〓各種団体と政府省庁が教科書改訂に積極的に乗り出している理由は、学生が間違った内容を学べば、後でこれを正すのは難しいうえ、教科書はお金をかけなくても社会的イシューと政策を效果的に広報できる手段であるからだ。
教育部は正当な修正要求は受け入れるが、教科書は普遍妥当な内容を盛り込めなければならないだけに、一方的な主張と偏った見解を盛り込むのは困るという立場だ。
許炯(ホ・ヒョン)中央(チュンアン)大教授(教育学)は、「社会が多様化しているだけに、今後も教科書を作る前に、関連分野の専門家が審議検討する過程を経て、精製された内容を載せる方案を考えてみなければならない時期だ」と言った。
洪性哲 sungchul@donga.com






