夫婦が回顧録を別々に出版したケースは、クリントン前米大統領夫妻がおそらく初めてだろう。大統領夫人の中では、ブッシュ大統領のバーバラ夫人が珍しく「回顧録(A Memoir)」を出版したが、夫ブッシュ大統領は、回顧録を書いていない。クリントン前大統領夫妻は、それぞれ回顧録を出版したという点でも特別だが、回顧録による金儲けでも「婦唱夫随」だ。主人に先立って昨年「生きた歴史」を出版したヒラリー上院議員は、回顧録セールスでも長けていた。
◆ヒラリー議員は、印税で出版史上空前の810万ドル(約94億ウォン)を得た。それに報いるかのように、米国全域とパリ、ロンドン、ベルリンなど、海外17都市のサイン会で、2万冊にサインした。米バージニア州ウォルマートでのサイン会では、手首が腫れ、氷で冷やして、手首に包帯を巻きながら、サインを続けた。回顧録出版社「サイモン・アンド・シュースター」のキャロリン・レイディ社長は、「1時間半の間、読者1500人と握手して、サインすることを、ヒラリー議員は楽しんでいた」と述べ、驚きを示した。
◆クリントン前大統領は、「マイ・ライフ」の発売のためのブック・ツアー(Book tour)と、マスコミのインタビューでスケージュールがぎっしり詰まっている。7月末まで、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、フィラデルフィア、ワシントン、デンバーなどの書店で、サイン会を開く。ワシントンのある書店では、サイン会の入場券を得ようと約1000人が7時間も並んだ。CBSのダン・ラダー、ABCのオフラ・ウィンフリー、CNNのラリー・キングなどの放送インタビューが列をなし、タイム、USAトゥデーなどの新聞雑誌のインタビューにも熱心に対応する。一銭も出さずに本の広告をしているわけだ。
◆プライドの高い夫妻が、ルウィンスキー・スキャンダルにどのように対応したかという好奇心から、本を買う人も多い。ヒラリー議員は、「生きた歴史」で、主人から初めて告白され「彼の首をへし曲げたかった」と言った。主人をベッドから追い出し、居間のソファに寝かせたという話は、主人の回顧録のために書かなかったのか、「マイ・ライフ」で初めて明らかになった。ルウィンスキー・スキャンダルと関連した家庭の秘話も、夫妻が回顧録のマーケティングのために、少しずつ分けていたのだろうか。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員hthwang@donga.com






