在韓中国大使館が2月初めから、中国を訪れる北朝鮮からの脱出者(脱北者)に、北朝鮮の居住地や家族関係、中国内の親戚の身元、脱北の経路や訪問目的など、公安機関の取調べを彷彿とさせる調査を行い、脱北者たちが強く反発している。
中国側のこのような措置で、国内では秘密にされている脱北者の身元情報が中国側に流れている。
国内では、行政総合ネットワークで身元照会が不可能なほど脱北者の人的事項は秘密にされていて、国家情報院などの一部の関連機関だけが身元情報を閲覧できる。
最近中国にビザを申請した脱北者Aさんは、「中国大使館の職員が、北朝鮮の住所などの人的事項を詳細に尋ねた。中国に行って家族に会う場合、中国公安が私を逮捕するのは時間の問題」と話した。Aさんは、中国訪問をあきらめるべきか、深刻に悩んでいる。
観光会社は、中国側が2月初旬から「単数旅券」所持者に対して戸籍謄本の提出を要求し、このうち本籍地が北朝鮮の脱北者には個別面談をして、訪問の目的や脱北の経路などを具体的に調査していると伝えた。
M旅行社の崔課長(32)は、「観光ビザを含むビザの発給で戸籍謄本を要求する国は中国だけだ」と述べ、「単数旅券所持者の本籍地が韓国の場合、中国側は別途の調査なしにビザを発給する」と話した。
現在、国内居住期間が5年未満の脱出者には、自由に海外を出入国できる一般の複数旅券(有効期間5年)ではなく、外国に一度行けば自動的に廃棄される単数旅券が発給されている。
中国大使館側のこのような措置により、中国に残された家族に会うために中国を訪れる脱北者にブレーキがかかった。
脱北者支援団体は、「脱北者たちの身元が露出すれば、中国にいる家族の安全まで保障できないというのが大きな問題だ」と指摘している。これらの団体によると、実際に中国を訪問して中国公安に逮捕された脱北者が少なくなく、北朝鮮に再び連れ戻される場合もあるという。
脱北者同志会の金聖ミン(キム・ソンミン)事務局長は、「政府が中国大使館側のこのような措置を黙認していることは、脱北者を保護しないというレベルを越え、中国公安に協力することだ」として、強い不満を吐露した。
外交通商部はこれに対して、「中国大使館が戸籍謄本を要求することについて、分かっていることがない」とし「ビザ発給に関連する問題は各国の所管事項だ」と述べた。
吉鎭均 leon@donga.com






