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[オピニオン]帰謬法

Posted February. 29, 2004 23:32,   

古代ギリシャには、一時期、哲学の花が咲き誇り、百家争鳴の時があった。「エレアのゼノン」(紀元前495?〜紀元前430?)も、その頃の人物の一人であった。彼は、「宙に射ち放った矢は動いているのか、止まっているのか」とか「兎は先を行く亀を追い越せるだろうか」などという謎めいたクイズで後学たちを悟らせた。彼が真理(真)に近づく方法の中に、帰謬(きびゅう)法というのがある。ある命題の反対が偽りであることを証明することで、本来の内容が真であることを証明するという話だ。

◆最近のソウルの話題は、不正なカネを車ごと渡したり、接待費の規制をめぐる是非、雇用の創出など。昔のゼノンが、生まれ変わってソウルを訪れたとすれば、彼はどのように説破しただろうか。車に積まれた不正なカネが150億ウォンだとすれば、3億ウォンずつ束ねたとして、50束に該当する。こうした不正を無くすため、1万ウォン札を全て回収して、1000ウォン札のみを流通させれば500束、100ウォン札を新たに発行すれば5000束になるから、その重量と面積のためにも、不法行為を減らせるという話になる。

◆50万ウォン以上の接待の際には、接待する顧客が何人であろうと、必ず名前と住民番号を記載するようにした措置は、アイデアにしては結構奇抜といえる。なぜ50万ウォンなのか。5万ウォン、または5000ウォンに下げたらどうか。何といっても、韓国経済の最大の懸案は、雇用の創出である。政府が民間企業に対し、雇用機会の拡大を督励する一方、公共部門の雇用も増やす計画のようだ。体制が変わる前の社会主義国には、公式的に失業というものがなかった。それを真似れば、公式的に「完全雇用」を成し遂げることができる。

◆おそらく、老獪なゼノンは、ここで止みそうにない。前述した事例を一括りにして、次のように提案しそうだ。「高額紙幣を小額紙幣に替えろ。あらゆる商取引に顧客の住所、氏名、住民番号だけでなく、顧客から受け取った紙幣の番号も一緒に記録せよ。ここに費やされる人員を大幅に雇用せよ。全ての失業者に仕事が宛がわれるまで、カネを数える作業、確認作業を繰り返す様にせよ」その結果、得るものは、そして失うものは。不正なカネの取引や失業はなくなるだろうが、大きな取引上の不便、経済的効率性の低下などは免れないだろう。これがゼノンの教えである。

金秉柱(キム・ビョンジュ)客員論説委員(西江大学名誉教授、経済学) pjkim@ccs.sogang.ac.kr