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[オピニオン]愛犬とテレビ

Posted July. 31, 2003 21:56,   

2000年のアカデミー賞を席巻した映画「アメリカン・ビューティー」は、「ビューティー(beauty)」というタイトルとは正反対に、米国の中産家庭の歪んだ姿を描いている。会社員で失職の危機に追い込まれた父親は、高校生の一人娘の友だちに微妙な感情を感じ、不動産業者の母親はほかの男と浮気をして夫に見つかってしまう。娘はこうした両親を極度に軽蔑する。3年前、この映画を見た時には、映画の中での話が米国だからこそありえることで韓国とは縁の遠い話だと思っていた。しかし、このほど多発している家族内での衝撃的な事件に接すると、もういつまで自信が持てるが分からなくなる。

◆我が社会でも、家族の伝統的な役割と機能はすでにその影が薄くなっている。老人扶養の機能は縮小し、子どもの教育は学校と塾に任せられている。もう残っているものといえば、家族間の血縁を分けているぐらいだろう。反面、家族の形態は非常に多様化した。離婚の増加に伴って再婚家族や、どちらか片方の親のみいる家族、独身者家族が増えており、子どもの留学などで離れて暮らす分居家族、出産を忌避して子どもを持たない家族が拡散している。この前、専業主婦が子どもと一緒に心中をした事件は、このように家庭の機能が縮小し、家族解体が進む過程で発生した不幸な事件だと言える。この主婦のように独りで子どもの教育を引き取っている女性の貧困問題は、先進国でも大きな社会問題になっている。

◆もっと実質的な問題は、家族間の対話の断絶であろう。韓国人が家族と一緒に過ごす時間は1日平均1時間18分で、そのうち40分は食事の時間だという。一緒にいる時間も短ければ、その時間にもほとんど対話を交わさない。米国の社会批評家のスコルニック氏は、「大都市郊外に住んでいる家族のほとんどは、崩壊している家庭だ」と慨嘆した。父親は真夜中にお客さんのように帰宅し、母親は共働きなどで過重労働に苦しめられているということだ。韓国家庭での対話の断絶も、これに劣らず深刻な水準に達している。

◆「江南(カンナム)では愛犬がいなければ家族が解体し、江北(カンブク)ではテレビがなければ家族が解体する」というユーモアがある。いわば生活パターンの違いのためだというが、ユーモアだから真剣に受け止める話ではない。とにかく、愛犬とテレビ視聴を通じてはじめて家族が一体感を感じるほどなら、我々の家庭がすでにひび割れしていることを意味する。家族の危機を克服する第一歩は、何より危機であることを早く悟ることだ。世間の重さに踊らされながら暮らしているこの地の親たちは、気の毒にもそうした心の余裕や時間もあまりないのだが…。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com