野球とともに、米国人が最も好むスポーツであるアメリカン・フットボールは、代表的な戦略ゲームの一つだ。アメフトは一見、体の大きな若者がもつれてぶつかり合う単純で荒々しいスポーツのように見えるが、一瞬に多様な作戦が駆使される。攻守の核心はクウォーターバック(quarterback)である。クウォーターバックのサインひとつで、残りの選手10人は一糸乱れず動く。ポジションの中には、ラインバッカー(linebacker)という役割もある。守備手に分類されるラインバッカーは、グランドを縦横に縫って走り、時には攻撃にも加わるなど、サッカーでいえばリベロのような機能をする。
◆最近、在韓米軍関係者らがこの「ラインバッカー」という言葉を使い始め、関心を集めている。昨日、米第2師団公報室の米軍将校が、「第2師団は、引界鉄線(tripwire)ではなく、ラインバッカーの役割をしなければならない」という師団長の言葉をマスコミに流した。これまで米国は、「引継鉄線」という表現に抵抗感を抱いてきた。「引継鉄線」という言葉そのものが、戦争勃発時の米軍の自動的な介入への保障を得るために、第2師団が北朝鮮の攻撃射程圏内に駐留しなければならないという論理が含まれているためだ。そう考えると、ラインバッカーは在韓米軍が引継鉄線のくびきを取り除く代わりに出した新しい概念だと考えることもできる。
◆多くの状況から、第2師団のラインバッカーの役割が口先だけではないことは、明らかだ。米国は数日前、今後数年間にわたって110億ドルを投入して、在韓米軍の戦力を大幅に強化すると発表した。最近の在韓米軍の再配置は、ブッシュ政権が世界的レベルで推進中の軍事力の軽量化・機動化戦略を反映したという話もある。先端兵器を備えた迅速配置旅団(Stryker Brigade Combat Team)を韓国に循環配置するという構想がそんな例だ。ボクシングにたとえると、在韓米軍は、相手の至近距離で闘うインファイターから、周辺をまわって機会を狙うアウトボクサーにスタイル変化を図っているわけだ。
◆問題はこのような在韓米軍の変化の兆しを周辺国が憂慮しているという点だ。北朝鮮だけでなく、中国も一昨日、「在韓米軍の後方配置が、韓半島の危機状況を複雑にさせ得る」と述べた。この問題が、韓国の安保を強化する一方、不安要因にもなり得るということだ。在韓米軍の再編過程に、韓国の声がどれほど反映されるのだろうか。アメフトがチームワークのゲームであるように、韓半島での軍事作戦も、韓米両国のチームワークによって勝負が決まるという事実に注目すべきである。
宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員 songmh@donga.com






