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[オピニオン]さよならコゼット

Posted May. 20, 2003 22:18,   

この頃、世界のミュージカルの「ビッグ4」としては、「キャッツ」「レ・ミゼラブル」「オペラの怪人」「ミス・サイゴン」が挙げられる。

米国ニューヨークのブロドウェイを制覇したこれらのミュージカルの共通点は、英国で製作され米国に輸出されたということ。英国ミュージカルの成功は「ミュージカルの皇帝」と呼ばれる英国人プロデューサのキャメロン・マッキントッシュ氏がいなければ不可能だった。ミュージカルの「ビッグ4」は、いずれもマッキントッシュ氏がプロデュースしたもの。氏が、昨年ブロドウェイミュージカルを中国に初めて上陸させた際のカードは「レ・ミゼラブル」だった。タイトルどおり「哀れな人々」を取り上げた作品の性格が、社会主義国の中国に進出する第1作としてふさわしいと判断したからだ。

◆昨年生誕200周年を迎えたフランスのヴィクトル・ユゴーの小説を、英国人のプロデューサがミュージカル化し、米国のブロドウェイが稼ぐといった三角関係がおもしろい。「レ・ミゼラブル」の公演収入は総額18億ドルで「キャッツ」の22億ドルには及ばないものの、文化商品一つで稼いだものにしては、膨大な金額だ。ユゴーは「文明世界の人間という存在は惨めなものだ。人間はその中でうめき、苦悩する」と言ったことがある。主人公のジャン・バルジャンとコゼットを通して、ユゴーは悲観的な視点を現している。フランス人独特の哲学的趣向がうかがわれる。ところが、シェイクスピアを生み出した英国人は、ドラマチックで叙情的なタッチで、米国人は素早い興行戦略で、この作品を20世紀最高の舞台商品として作りあげた。

◆このミュージカルで記憶に残る人物は、一人の男を愛するコゼットとエポニーヌ。「虐待される子ども」のコゼットは、ジャン・バルジャンに救われた後、難なく成長してマリウスとの愛を実らせるが、いかさま師の娘エポニーヌは、マリウスへの片思いを抱きつつ革命軍に加わり、悲劇的な最期を遂げる。同じ「哀れな人々」として、すれ違いの運命を歩む2人の人物を囲んで、観客はコゼット側とエポニーヌ側にはっきりと分かれる。エポニーヌが歌う「私だけの愛」は、恋に落ちた経験をもつ全ての人々の心琴に触れる歌だ。

◆1987年、米国のブロドウェイに初めて進出したこの作品が、大勢の人々に惜しまれながら幕を閉じたという。同時多発テロによるダメージが直接的な背景とはいうものの、あらゆる事物は長短こそあれ、それぞれに寿命をもっているというのが世の常である。世界中の5000万人以上の人々が観覧し、原作の小説に優るとも劣らないくらいの深い感動をもたらしたということだけでも、このミュージカルはこの上なく「幸せな」作品といえる。9月には、韓国の「ナンタ(乱打)」が初めてブロドウェイに進出するということだが、私たちもブロドウェイに新たな「名品」を残すことができるか、反応が気になる。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com