ホットライン(hot line)とは、「緊急連絡用直通通信線」をいう。米国と旧ソ連は、1962年のキューバミサイル危機を契機に、63年6月20日ジュネーブで「直通通信線設置に関する了解覚書」に調印した。キューバミサイル危機とは、62年10月22日から11月2日までの12日間、ソ連がキューバにミサイルを配備しようとしたことに対して、米国がキューバを海上封鎖したことで、核戦争が起こる直前にまでいった世界的な危機状況をいう。67年6月の中東戦争でソ連はホットラインを通じて米国に平和への協力を要請し、米国もこれを活用して当時地中海の米海軍艦隊の動きに対するソ連側の誤解を防ぐことができた。
◆ワシントン‐モスクワのホットラインは、その後も重大な危機事態が起きるたびに、米ソ首脳間の緊急協議の手段として使われた。いわゆる「冷たい(cold)」戦争を溶かす「熱い(hot)」通話だったのだ。先週ブッシュ米大統領は、世界的な反戦の熱気にもかかわらず、対イラク攻撃を命令した。今後米国、英国、ロシア、フランス、中国などの首脳らによるホットラインが、どれほど熱くなるだろうか。北朝鮮も戦争の行方を注視し、状況判断に余念がないだろう。ソウル‐平壌間にホットラインがあったら、南北首脳間に対話があると思うのだが…。
◆ブッシュ大統領は先週、国民への演説で、この12年間の国連安保理決議にしたがって行なってきたイラクを武装解除する国際社会の平和的、外交的努力が、すべて無駄になったため戦争をすると主張した。またフセイン大統領が権力の座にいる限り、イラクの大量破壊兵器は除去されないという見解を明らかにした。北朝鮮を「悪の枢軸」の一員とし、また「暴圧政権」とみなすブッシュ大統領の北朝鮮認識も、対イラク認識と似ているようで、北朝鮮の核問題の平和的解決を望む韓国国民の心を重くする。
◆韓国は、90年代初めから南北間の軍事信頼構築ならびに危機管理のために、双方の軍首脳部間に「軍事直通線」を開設することを提案してきた。しかし北朝鮮側は、軍事問題は南北間の問題ではなく米朝間で協議する問題だとして、軍事的信頼構築に関する南北間の協議を拒否している。今日のような危機状況で、南北首脳や軍首脳部間にホットラインが設置されていたら、北朝鮮核危機の平和的解決に向けて韓国政府の「主導的」役割や米朝間の「仲裁」ができただろう。それは、北朝鮮が軍事問題に関して韓国側と話し合わないとする態度を捨てた時、可能となるのである。
朴庸玉(パク・ヨンオク)客員論説委員(元国防部次官) yongokp@hanmail.net






