Go to contents

ワーグナーが探していたその声

Posted February. 11, 2003 22:30,   

ヨン・クァンチョル(39)。02年独バイロイトのワーグナー祭典で『タンホイザー』の主役級であるヘルマン領主の役を演じ、故国のファンを驚かせた主人公。昨年、文化観光部(文化部)が授与する「若い芸術家賞」を受賞した同氏が2年3カ月ぶりに、故国で2度目の独唱会を持つ。3月9日午後4時、LGアートセンター。最近イタリアを中心に、若い声楽家らのコンクール入賞と現地オペラ出演の話が目立って増えているが、ワーグナーなどドイツのレパートリーとなると、その数が急速に減る。まして東洋人の体格では不利なものとされてきた「ベース」の領域では言うまでもない。しかし、ヨン・クァンチョル氏は、堂々と『タンホイザー』の領主として、全世界の「ワーグナーリアン」(ワーグナー教徒)らの聖地に立ち、「滝の水のような声」「ワーグナーが探していた声」という地元マスコミの高い評価を受けた。

ヨン氏は、清州(チョンジュ)大・音楽教育科の出身。ブルガリア・ソフィア国立音大を経てベルリン音大を卒業。1993年パリで開かれたプラシド・ドミンゴ国際コンクールに優勝して、国際舞台にその存在を知らしめた。翌年ベルリン国立オペラ、2年後にバイロイト?祝祭に登場し、同氏の名前はドイツ声楽界で確固たるものとなった。

記者が同氏に会ったのは、98年のバイロイト音楽祭。『ニュールンベルクのマイスタージンガー』に脇役の夜警員として出演したヨン氏は、脇役であるにもかかわらず、出演陣のなかで最も大きな喝采を受けた。同氏の深い声には、古い酒樽から響き渡る音のように、軟らかく深みのある香りが漂っている。ウォルフガング・ワーグナー総監督は「他の役は複数の人を交代して起用するとしても、夜警員の役だけはヨン氏の声で繰り返し聞きたい」とし、誉め言葉を惜しまなかった。しかし今では、夜警員の役をもう一人の韓国人、チョン・スンヒョン氏(シュツットガルト国立オペラ団員)に譲り、さらに一段階のアップをした。

こんにち全世界で活動中のベースは、大きな体格の欧州出身がその大半だ。野獣のように険悪な印象の巨躯であるフィンランドのマルッティ・タルベラが1970年代を代表するベースの「シンボル」だったように。しかし、小さい体格のヨン・クァンチョル氏は、過ぎしの日のタルベラのレパートリーをどんどん征服している。02年シドニー五輪の芸術祭典でも、マーラーの交響曲7番のソリストとして出演し、絶賛を受けた。

今回の独唱会で同氏が聞かせてくれるレパートリーは、ドイツの歌曲とイタリア、フランスのオペラを網羅する。シューベルトの歌曲『人間の限界』、モーツァルトのオペラ『魔術の笛』マイヤーベアの『悪魔ロベール』などに出てくるベースアリアの真髄を披露することになる。公演に先立ち2月24日からは、ソウル・バロック合奏団(リーダ、キム・ミン)の伴奏で、盆唐(プンダン)・ヨハネ聖堂でアルバムの収録も行う。2万〜4万ウォン。問い合わせは02−2005−0114



劉潤鐘  gustav@donga.com