
修道女の李ヘイン氏(57)が新詩集「小さな慰め」(ヨルリムウォン)を出した。3年ぶりに読者たちと出会う詩集だ。
「昨年の夏、久々に寝室の荷物を整理している途中、祈祷のように突然短い詩のいくつかが思い浮かんだのです。それらと散文集に載せていた詩を集めてまとめました。皆を慰めてくれる小さな葉書のような詩になってくれるといいですね」
受話器の向こうから聞こえてくる声は澄んでいて、しかも軽快だった。李氏は、世を去った先輩シスターが遺言のように残してくれた「小さな慰めが一番大事で、もっとも必要なものです」という話をいつにもまして実感しているという。
「芝生に倒れた/ピンクの相思(サンサ)花を見ながら/一人で泣きました/倒れた花々を/どうやって労わったらいいか/空を仰ぎます/雨にぬれた花々も慰めてください/美しい罪の多い/哀れな人々も/もっと愛してください」(小さな慰め)
李氏の詩は、乾いている人たちの喉を濡らしてあげ、傷ついた心を慰めてあげるような、朝、昼、夜に低い声でつぶやく祈りであって、「平和への橋」だ。「詩は、世の中を見つめて、人々を理解する窓になってくれたし、すべての関係をつないでくれる美しい手紙に思えるときが多かったです」(自叙伝)
「神様は私に祈祷者の役割を与えてくれました。世の中の小さな喜びと平和を与えてくれる小さな天使になろうと思ったのです。詩が足のない天使の役割を果たしてくれているように思えます」
李氏には、暮らしそのものが、ひとり一人の人々がそのまま詩だ。素朴な詩は、李氏の日常を映し出す「証言者」の役割を果たしたりもする。憂うつになったとき、水の音を立てながら洗濯をしたり、寂しい、恵まれない隣人宛てにきれいな絵入りの手紙を書く平凡な生活。
「憂うつな日は/洗濯をしてみてください/清い水が/音を立てながら跳ね上がる/歌を聴いていると/心が清くなるのです」(洗濯をしましょう)
今回の詩集には、身近で体験した知人の死と、その悲しみを胸に葬った李氏の思いが垣間見れる詩編も目立つ。
「訃報に接するたびに/私も少しずつ死んでいく/音を聞く」(訃報)
「悲しみを叩き起こすのは/いつも悲しみか/…思いっきり悲しみを払った後は/私はいつの間にか勇敢になり/日常の道に向かって歩き出し/少しずつ笑うことができる」(弔詩を書いてから)
「クリスマスを迎えて、あれやこれやと準備が多くて忙しい」と語る李氏の小さな詩集には、自身の部屋で詩の空間を共有しているモノの写真が一緒に載せられていて、さらに親しみを感じさせる。
趙梨榮 lycho@donga.com






