Go to contents

[オピニオン]死後の栄誉

Posted December. 02, 2002 22:44,   

91年3月、変り者のシャンソン歌手セルジュ・ゲンズブルが亡くなったことを受け、フランスの日刊紙リべラシオンは「奇行」をもって彼を追悼した。新聞全体を彼に関する記事で埋め尽くしたのに加えて、通常の発行部数をはるかに上回る新聞を印刷したのだ。口にはいつもキツイ「ジタン」という煙草をくわえて歌うかと思えば、紙幣を燃やすなど、数々の奇行をもいとわなかったゲンズブルへの追悼の思いを変った方法で表現しようとした新聞の型破りに、読者は「リベラシオン売り切れ」で応えた。誇らしいミュージシャンに対する愛情が決め手となったわけだが、死者に対しては、ことさら寛大なフランス人の国民感情もまた、文化史に残るほどの出来事をつくる上で大きく貢献したといえる。

▲フランスゥア・ミッテラン大統領も同じような待遇を受けた。彼の葬式に内縁の女性と成人した私生児が登場する、まれにみる「事件」が発生したものの、ほとんどのフランス人は、つい半年前まで大統領の座に就いていた人の複雑なプライバシーを少しも非難することはなかった。ミッテランの内縁の女性と私生児は、堂々とした態度で故人が葬られる埋葬地までついていった。高速道路の場合、時速130キロを上限にしているが、10〜20%超の加速までは大目に見る、いわゆる「トーレランス(tol’erance)」として知られるフランス人の寛容精神だけでは説明し難いくだりだ。

▲フランス人は、さらに一歩進んで死者の名誉を称えることにも熱心だ。「3銃士」の作家アレクサンドル・デュマの遺がいが、3日前、フランスの歴史を代表する偉人たちの殿堂パンテオンに葬られたのも、そうした努力のひとつだった。フランス人がデュマの生誕200周年を記念し、彼にパンテオンという新しい安息地をプレゼントしたのだ。フランスのシラク大統領は、国民の前で「奴れいの子孫であるデュマが、幼い頃から受けていた不当な待遇を、こんにち、共和国(フランス)が改善している」と述べ、「われわれは彼のように自らの職能と才能、資格を持つすべての者がフランスの社会において正当な地位を得られるような未来を築く」と、熱く説いた。

▲フランスに比べると、私たちは死者の人生について決して寛大であるとは言えない。有名人の死に対する礼遇もそうだが、正しい評価を受けられないまま消えていった歴史上の人物に対する見直し作業もまだまだ弱い。これについて「大臣の弔いには参列しなくとも、大臣家の犬の弔いには参列する」ということわざまであるくらいで、生存する権力者に対して寄せられる韓国人の現世指向的意識を皮肉っている。わずか20年ほど前に発生した許(ホ)ウォングン一等兵の死亡事件で、二つの国家機関が自殺と他殺をめぐって対立していることも、韓国人の意識とかかわっているように思う。名誉を称えるまではいかなくとも、無実にして死んでいった者たちの死因を究明する時代になることを願いたい。

方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com