「不法政治資金から自由な政治家はそう多くない。政治指導者は不法な政治資金について国民に告白し、赦免を受けなければならない」。
先月22日、全国経済人連合会(全経連)の通常総会の時に出てきた発言だ。告白と赦免・・・。その間、犯してきた罪を反省し、謝罪を求めよ、ということだが、40年の全経連史上、財界がこのように色を正して政界に直言したことはない。政治権力、官僚、財閥の垂直ネットワークにもとづいた政経ゆ着の構図。すなわち権力の後押し、官僚のコントロール、財閥の裏金といった開発独裁システムが「作動不可」の判定を受けて久しいが、だからと言って財閥が政界に裏金を手渡してきた「慣行」までなくなったわけではない。SKの孫吉丞(ソン・ギルスン)会長は数日前に、「最近の企業で、大目に見てほしいと言って資金を寄付する会社はない。ただ事業に不利にならないようにしてほしいという意味で支援
している」と語った。ところが、もはや「不利にならないように」してほしくて資金をつぎ込むこともできないというのだ。
法的に正当な政治資金以外は一切、寄付できないという財界の「堂々とした宣言」に、大統領もいいことだとし、与野党でも何の文句もないのだから、パチパチと拍手してことを終わらせてもよさそうなものだが、そう簡単に拍手して終わらせることができるとは、大統領も政界も、まして大声をあげた財閥も思っていない。地方選挙と大統領選挙がひかえている今年の政界の所要資金はいくら小さく見積
もっても、約4500億ウォン。公式の収入は約2900億ウォンだから、およそ1600億ウォン足りないことになる。少なくとも、この資金をどこから捻出するという保障がないかぎり、告白も赦免もすべて時間の無駄になる。
いや、ああも国税庁次長が責任持って与党の大統領選挙資金を166億ウォンもかき集めたものだと世間を驚かせた「税風」も、「租税権悪用疑惑」というやっかいな特徴を考えに入れなければ、政界と財界の政治資金に関する裏取り引きは、古い慣行の「変形」と解釈することができる。慣行だから適当にやり過ごそうというわけではない。間違った慣行の見直しを図るためにも、とくに現政権で明らかになったように、権力側の利益のためには国家の租税権を私物化する国税庁の間違った体質を正すためにも、事件の真相は明白にされなければならない。
ただ、相当な時間がかかるしかなさそうだ。「税風」事件の核心人物である李碩熙(イ・ソクヒ)元国税庁次長が渡米して逃避生活2年半ぶりに、米連邦捜査局(FBI)に検挙されたが、米国内の複雑な司法手続きのため、いつになったら韓国に送還されてくるのか見通しが立たない状況だ。しかし、各種の「ゲート」スキャンダルで窮地に追い込まれた政権側としては、ただ手をこまねいていてばかりはいられない。年末の大統領選挙の好材料がこのまま飛んでいってしまうのではないかと、焦らずにはいられないだろう。
政治的な道具としての「税風」の焦点は、当時与党ハンナラ党の大統領候補だった李会昌(イ・フェチャン)総裁が介入していたかどうかだ。李総裁が資金集めを指示したのか、指示していなくても、知っていながら知らないふりをしたのか、という両者のうち、政権層は後者に焦点を合わせているようだ。立証できるかどうかは関係なく、がい然性だけでも李総裁に相当なダメージを与えることができるからだ。
筆者は「税風」のまた別の核心人物である徐相穆(ソ・サンモク)元ハンナラ党議員に単刀直入に質問した。「本当に、李総裁は知りませんでしたか」。徐氏いわく、「検察でも、党に巨額の資金が入ってきたのに、総裁に報告さえしなかったというのは話にならないと問い詰めてました。わたしはこう答えました。資金問題に関するかぎり、李総裁は「おかしな方」だと。当時党内では候補が資金を集めないで、どう選挙するつもりなのか分からないという不平がありましたが、李総裁は資金の話を口にするのさえ嫌がりました。そんなに嫌がっている上に、イメージ管理のレベルでも知らないほうがいいと思って、何の報告もしませんでした」。
もちろん、事件関連の当事者の弁明だけで、みんなが納得できるとは思えない。しかし、明らかな証拠もない政治攻勢は、「李会昌封じ込め」という強い反発を呼び起こすのに十分だ。「そっちの選挙資金も明らかにしなくていけない」という逆攻勢も多かった。これが「税風」のジレンマだ。財界ではみんな告白して赦免を受けよ、という。「政権が変われば、企業家だけが苦労をする」という、ある財閥会長の直接話法は、政治資金の悪循環がまだ終わっていないことを暗ににおわせている。このジレンマを抜本的に解決することこそ、「税風」の真相を明らかにすることに劣らず、急務な課題ではないだろうか。
全津雨(チョン・ジンウ)論説委員






