民主党総裁の金大中(キム・デジュン)大統領が、金重権(キム・ジュンゴン)最高委員を党代表に指名した。これは現与党の狭い人材プールと、主に良く知っている人物を重用するDJ(デジュンの頭文字)人事のパターンに照らし合わせた時、現実的にはやむを得ないと考えることができる。嶺南(ヨンナム)地方出身の政治家を党代表に座らせることによって地方偏重人事を緩和し、地方和合のイメージをアピールして政権再創出にプラス効果を期待する政治的な計算もあるのだろう。
しかし国政改革が国民的熱望となり、執権与党の刷新が当面の課題である現時点において、金最高委員の党代表指名は次のような理由から不適切だというのが我々の考えである。
第一に、改革を標榜する執権与党の代表として、金最高委員がふさわしい人物かという疑問がある。彼は民政党出身の古いタイプの政治家であり、改革性とは縁がないというのが一般的な評価だ。民主党内の改革志向議員の相当数が党の停滞性による混乱を懸念して反発しているのもこの理由による。
第二に、金最高委員の時局認識である。彼は最近あるテレビ討論番組に出演し、現時局に関して「現局面は危機だとは言えない」「大統領は民心を知り尽くしている」と終始金大統領の擁護に徹したという。彼は現政権初期の危機、「高級婦人服ロビー疑惑事件」の時にも、大統領秘書室長として民心を大統領にしっかりと伝えていないのではないかという批判にさらされた。過去の例と現在の時局認識で判断しても、彼が大統領にしっかりと民意を伝えることができるのか憂慮される。なぜもう大統領直轄体制なのか、側近体制なのか、という批判がでることを読めなければならない。
民主党の刷新の根本は、党が青瓦台(大統領府)から独立して自律性を確保することである。過去の代行体制の時も今の代表体制の時も新しい人物を擁立するたびに「党代表の権限を強めて、党をシステムとして効率的に動かす」と公言してきたが、党代表が相変わらず「雇われ社長」に留まり、党は青瓦台の付属物から脱却していない。
このような現状が繰り返される限り、「党の刷新」も「国政改革」も空しい言葉であり続けるだろう。ただでさえこの民主党代表指名はそのプロセスや内容から、金大統領の国政改革に対する決意を疑わせる材料となっている。金最高委員が秘書室長体質から脱却し、名実を兼ね備えた執権与党代表になれるか、じっくりと見守って行きたいと思う。






