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韓国経済を取り巻く好材料と悪材料

Posted November. 29, 2000 12:29,   

大宇自動車の労使がリストラに劇的に合意したことを受け、財政経済省のある高位当局者は「韓国経済を覆い尽くしていた不安の要因が少しずつなくなっていくようだ」と胸を撫で下ろした。

数日前だけでも多くの‘悪材料’が重なり、一寸先のことさえ予想できなかった韓国経済に一つ二つ‘好材料’が登場しつつある。とはいえ、依然としてリストラに伴う鎮痛など、韓国経済の足を引っ張る不安の要因は所々潜んでいるため、楽観は出来ない状況だ。

▽5つの好材料=大宇車労使の劇的なリストラへの合意は、売却協商が本格化するきっかけを作り出したとのことから、対内外に肯定的な効果を与えると見られる。特に、妥協無しに見られてきた同会社の労組が、人員削減を含めたリストラ作業に合意したことは、並ならぬ意味を持つと言えよう。

ウォン高(ウォンの価値の暴落)や株価暴落などで不安な様子を露呈してきた国内為替市場と株式市場も急速に安定を取り戻している。ドル当たりウォンの為替レートは1200ウォンの突破寸前まで高騰してきたものが、やや収まったように見える。500台の崩壊まで懸念された総合株価指数も27日には、550台に上昇した。

混沌に陥っていた米国の大統領選挙の結果が発表されたことも、韓国経済においては悪くない。実際、このニュースは韓国の証券市場に好材料として働いた。米国の大統領選挙騒ぎの鎮静は、国際石油価格などの他の海外変数の安定と相まって、海外からの悪材料が発生する可能性を下げている。

第2次公的資金の助成をめぐる国会審議が本格化したため、この問題も間もなく解決するとの期待感が高まりつつある。与野間の食い違いはあるものの、どんな形であれ解決策を講じる公算が高い。政府の関係者は「野党のハンナラ党が与党との政治的な葛藤にもかかわらず、公的資金問題を話し合うために国会に出席したこと自体、韓国経済に対する外国投資者の信頼を高めるのに多いにプラスになった」と話した。

この他にも、LGグループがオランダのローヤル・フィリップス電子との合同法人を設立することに合意し、11億ドル相当の大規模の外資を成功的に誘致したため、“資金危機に瀕しているとの悪評判”を払拭した。これも好材料として挙げられよう。

▽5つの不安要因=韓国経済を覆っている不安要因は依然として残っている。

一番大きな問題は金融及び、企業リストラをめぐって相次いでいる‘冬闘’の鎮痛。特に韓国電力の労使問題などの労組と政府間の‘労・政対決’は、どのように結論づけられるか不安である。労使葛藤は来年も‘台風の目’となる見通しだ。

依然とした消費及び投資心理の冷え込みは、実質生活で感じる体感景気に直接的な悪影響を及ぼしている。政府は消費及び、投資心理を奨励するために、部分的な活性化政策などのあらゆる対策を検討しているが、根本的な解決法案を提示するまでは時間がかかりそうだ。

建設景気をどんな形で活性化するかも大きな課題。9月中の建設受注金額は去年同期より18.4%減った上、先行指標である建築許可面積も増加ぶりが激減している。建設景気の不況は特に地方経済に直撃弾を与えるとの観点から政治社会的な不安要因になりかねない。

年末年始に企業の資金事情が悪化する可能性が高いとの見方も依然として根強い。D証券の関係者は「サムソン(三星)などの少数の優良企業を除けば、会社債の発行などを通じて資金市場で容易く資金を調達できる企業はそれほど多くない。全般的な企業の資金不足問題は年内には解決の兆しが見えず、来年初盤まで続くものと見られる」との懸念を表明した。

失業者の増加は、リストラ過程において不可避だとはいえ、相当期間、韓国経済の頭痛の種になるに違いない。政府の公式展望によっても平均失業率は来年2月までに4.4%に高まり、失業者数は96万人に達する見込みだ。