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[社説]黄張鎏氏の解任は「偏狭な仕打ち」

Posted November. 23, 2000 18:02,   

国家情報院(以下国情院)に対する批判声名を出したという理由で、黄張鎏(ファン・ジャンヨプ)氏に対して、統一政策研究理事長職からの解任と安全家屋からの退出を通達した件について、国情院の対応が偏狭な報復措置ではないかをもう一度考えてみる必要がある。政府は黄氏と金徳弘(キム・ドクホン)氏が97年に亡命した際に保護を約束しているのだから、国家にはその約束を守る責任がある。

黄氏の南北関係に対する意見そのものよりも、黄氏が国情院傘下機関の幹部である点において、彼の意見の対外流出の過程がもっと問題だというのが国情院側の考えかもしれない。だからといって、今の状況で黄氏の身辺を国情院が保護している特別管理体制から、警察による一般管理に切り替えても大丈夫なのかは、危険度や必要性などから判断するべき事だ。黄氏の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する見方や意思表示が国情院の気に障るからといって「勝手にしろ」というのは、感情的な対応だと言わざるを得ない。

仮に黄氏の「対北観」が今の南北関係の流れにそぐわないものだとしても、それを参考にする必要があるはずだ。韓国のどんな専門家や政策当局者も、黄氏より北朝鮮に対する経験や情報分析において敵わないのは明らかだからである。黄氏が持っている「資産」を有益に活用するのが北朝鮮問題を扱う国情院の任務ではないのか。

二人は「国情院の安全家屋で生活をしながら、活動制限の問題だけを何とかしようとしただけ」とし、「韓国に来る際、身の安全以外に北朝鮮を民主化させるための活動についても保障が約束されたのだから、それは守られるべきだ」とも主張している。金氏は「現在の南北交流は北朝鮮の死活的要求であるために、政府が心配するように北側の神経を逆なでしたとしても、中断されることはないだろう」という見解も示している。

また、二人に対して国情院傘下研究所の理事長と顧問の役職を与えたのは礼遇の意味だと見るべきだ。二人の見解が現在の政府の政策と対立するいう理由で解任すれば、生活基盤を剥奪することになる。国情院傘下機関の幹部であることが不都合だというなら、他の職務を準備するのが道理だ。

最近の国情院は黄氏の問題に限らず、たびたび対北業務において物議をかもしている。国情院の本来の業務は北朝鮮との交渉ではなく、監視と危機への対処のはずだ。対北対話と交渉を担当する政府機関は統一省と外交省であり、国情院ではない。にもかかわらず林東源(イム・ドンウォン)国家情報院長が対北交渉の前面に立つのは、政府の政策が法と制度ではなく、人を中心として動いているということを立証する典型的な事例だ。国情院が国家情報機関としての本来の姿を取り戻すことを期待する。