
軍隊で残ったご飯(残飯)を与えてから5分もたたないうち、「モグモグ」という音が聞こえてくる。間もなく猪2匹とその子豚が残飯を食べはじまる。どこからか野良猫まで現れいつのまにか合流している。
軍事分界線と隣、江原(ガンウォン)道コソン郡コジンドン谷間には、野生動物と軍人らが共生している。猪が残飯を処理するのは有り触れたことで、ヤギも時々目にする。韓国国内で唯一韓国から北朝鮮に流れている川である南江地帯では、1級水のみで生息するといわれる朝鮮鮒が逍遥する。
陸軍のヌェジョン部隊・ジョン・ミョンシク大尉は「野生動物を絶対に害さないように教育をしており、毎年4月にはこの江で鮭や稚魚を放流し、北側へと向かわせる行事も行なっている」と話した。野生動物を害すると悪いことが起きる、という軍隊内でのジンクスがあることから、非武装地帯は山ヤギ(天然記念物第217号)、タンチョウ(天然記念物第201号)などの野性動物の天国として保存されている。
動物だけではなく植物の植生においても非武装地帯は大事な場所だ。軍事警戒線であるため、共同警備区域の鬱蒼とした森は伐採されたが、まだ開発されていないことから自生植物が繁盛している。
そのなかに、いわば「生きている自然史博物館」と呼ばれるところは、デアム山頂上海抜1280mにある竜沼(ヨンヌプ)だ。97年にラムサ協約(湿地保存国際協約)に加入されている場所として、4500年にわたって形成された天然湿地である。
現在、陸化が相当部分進陟され、元の大きさの半分ぐらいの6970㎡程度の沼地を維持しているだけだ。ここは、191種の湿地植物と234種の昆虫、多数の両棲類と爬虫類が棲息している生態系の宝庫。さっと踏んでみると、まるでベットのうえを歩くかのようにふかふかしている。盆地地形と寒くて湿気が多い気候のゆえに水気が流されず残っているからだ。
しかし、1977年に周辺軍隊でスケート場を建設するため、竜沼が多く棄損された。沼地の気孔が土砂により塞がれあちこちに水の流れが出来た。陸地植物の正木がいたる所に立っており、砂が水の流れに沿って積っている。4500年という時間が一瞬の内に崩れつつある。
こうした危機は竜沼だけではない。京義線鉄道と南北をつなぐ道路工事など、「統一の熱風」により非武装地帯の棄損はすでに危険水位に達している、と関係者は指摘する。
韓国環境省も先月、非武装地帯を絶対保全地域として指定するなど接境地域の難開発の防止計画を発表したが、来年完工に向けて強行している京義線工事など、統一事業にブレーキを掛けるには力不足だというのが関係者らの評価だ。
金俊錫(キム・ジュンソク)記者 kjs359@donga.com






