北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)総書記の特使として韓国を訪れたキム・ヨンスン(金容淳)労動党対南担当秘書と、韓国のキム・テジュン(金大中)大統領の特別補佐官であるイム・ドンウォン(林東源)国家情報院長の間で合意した「共同報道文」は、南北関係が急進展していることを現わしている。「共同報道文」は、両首脳が去る6月15日北朝鮮で発表した「南北共同宣言」を共に履行することによって、南北和解と緊張緩和を実践するという方向性を再び確認したものである。
金正日総書記のソウル訪問
これは金容淳秘書がソウルを訪問した核心課題の一つである。金秘書がチェジュ(済州)島を訪問した後、ポハン(浦項)製鉄とキョンジュ(慶州)を訪問したのは、金正日総書記が来韓する際、訪問予定されている地域について事前点検するという意味を含んでいる。こうした金総書記の訪問に関心が集まっているのは、「南北共同宣言」の全般的な履行意志を点検できる象徴的な事案であるからだ。
南北朝鮮が金総書記のソウル訪問日程について確定したのも、南北共同宣言の履行に対する両側の確固たる意志を示すものとして分析される。韓国政府は、当初から金総書記のソウル訪問時期を早期に実現することを提案したが、北朝鮮側が国内の政治日程を理由として時期を遅らせたいと申し出た。これについて韓国政府は、訪問時期に執着するより「南北共同宣言」の履行において、意志が変わっていないことを確認するという線で訪問問題をめぐる異見を詰めたと知られている。
離散家族問題の解決
南北は今年中に離散家族の生存確認作業を完了すると意見を揃えた。生存確認作業は、南北離散家族の書信往来と再会、しいては再結合の基礎という点で意味が深い。これは北朝鮮が離散家族をめぐる問題の解決に対し柔軟な態度を示したと評価できる。無論、離散家族をめぐる問題は南北当局間会談とは別に開かれる赤十字会談で解決する事案であるが、南北離散家族問題の解決について原則的に一歩発展させた結果といえる。特にクムガンサン(金剛山)で開催される赤十字会談で面会所の設置など、細かい事案が妥結されれば、離散家族問題の解決は本格的に制度化される段階に入ると期待される。
国防省閣僚級会談
南北朝鮮が朝鮮戦争によって分断されて以降、初めて第3国で国防省閣僚級会談を開くことは、南北朝鮮の間での信頼構築と緊張緩和という新たな出発点となる。これは6月の南北首脳会談で、「この地で二度と戦争が起きてはならない」という両首脳の認識を実践する意味を持っている。
国防省閣僚級会談には、軍ホットラインの設置や運営など軍事的な信頼構築と緊張緩和に対する問題と、軍事協力問題を協議する見通しだ。韓国政府は、南北が軍事当局者会談を開催すれば、緊張緩和と経済協力という、統一に向けた安定的な流れになると期待している。ただ、会談が開かれる場所が朝鮮半島ではなく第3国という点が残念だ。政府関係者は「韓国は南側で、北朝鮮は北側で国防閣僚級会談を開くことを希望し、意見の隔たりがあったため、韓国が板門店を提案した」とし、しかし北朝鮮が板門店を拒否し、結局第3国で会議を開くことになったという。同関係者は「初会談が行なわれれば、その次は朝鮮半島で会談が開かれるよう進行する」と説明した。
経済協力に対する制度的準備を
南北朝鮮が投資保障、二重課税防止、清算決済、紛争解決の手続きなど、経済協力に関連する制度化を図れば、経済協力が過去とは比べられないほど、活性化すると期待している。政府関係者は「南北当局が経済協力に対する制度的な枠組みを揃えていくことは、南北共同宣言に明示された通り、民族経済のバランスある発展を図る基礎作業が始まったとの意味だ」と強調した。対北投資に対して民間レベルでの一定の経済協力の道を開かれることも含まれているなど、韓国では安定的な投資を保障し、北朝鮮では韓国企業との投資拡大を誘導できるため、経済協力の制度的枠組みは必要となる。
南北朝鮮が経済協力について実務会談の開催に合意し、今月末に15人の北朝鮮経済使節団が訪問するなど、南北の経済協力は急進展する見通しだ。






