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「より厳しい道」を選んだ尹大統領、国民との意思疎通方式を見直さなければ

「より厳しい道」を選んだ尹大統領、国民との意思疎通方式を見直さなければ

Posted August. 02, 2023 07:48,   

Updated August. 02, 2023 07:48

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「私にとってもっと面倒で大変なことだ」

当選者時代に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、大統領府時代を終え、龍山(ヨンサン)大統領室時代を宣言する意味をこのように説明した。密室の意思決定を遮断し、大統領の権力を公的監視の領域に持ち込むという意味と解釈された。朴槿恵(パク・クンヘ)政権での国家情報院のコメント事件と国政壟断、文在寅(ムン・ジェイン)政権の大統領府の選挙介入疑惑を捜査・指揮した尹大統領が、過去の政権の前例を踏襲しないという意味なので、重みがあった。権力の運営体制(OS)を変えるという言葉にも聞こえた。

タイトな日程の引っ越しだったため、昨年5月、龍山大統領室の1階にはまだ消し去れない国防部の痕跡が残っていた。エレベーターに国防部のロゴが見え、作業員の足音とチェーンソーの音が絶え間なく聞こえた。アスベストとセメントの臭いもあった。拙速な移転で物議を醸したが、最高権力者の新しい意思疎通、新しい権力が生み出す変化を直接観察できるという期待が交差した。

就任当初、大統領室の1階では、尹大統領と参謀たちを時折観察することができた。大統領が玄関に出て誰かを待っている姿や、車でどこかに向かう姿を見ることができた。ぶら下がり取材が毎朝なくても、それだけで同じ空間にいるという認識ができた。「空間が意識を支配する」というのは、尹大統領の言葉だ。

1年が過ぎた現在。昨年9月、「バイデン発言」が物議を醸した後、一時的に設置された1階前の間仕切り壁はそのままだ。遮断壁だ。壁の沈黙を埋めたのは、尹大統領の閣議演説や首席秘書官会議の発言だ。思い切った発言の日には数千字を超える。大統領室の選別により発言の全文が公開される。一部の発言はフィルタリングされ、事後に伝えられることもある。

取材記者はこの発言を分析・解釈し、参謀たちの追加説明を聞きながら、最高権力行使の方向を推測する。記者たちが大統領に質問する機会は、昨年就任100日を機に開かれた記者会見以降ない。就任1年の記者会見も検討されたが、結局、簡単な食事会となった。国民に誠実に説明する必要がある韓日外交の正常化など、様々な懸案事項が閣議の演説で伝えられた。

尹大統領は、国政に「グローバルスタンダード」を強調する。閣僚たちにも機会があれば米国出張に行って学ぶよう助言する。米国はどうか。韓国では極秘扱いされる大統領の健康記録まで公開される。バイデン米大統領が治療を受けた歯の番号、治療方法、治療場所、治療チーム名、治療期間などをホワイトハウスが詳細に公開したことが代表的だ。

1ヵ月後には、ぶら下がり取材の中止のきっかけとなった米国歴訪中の失言から1年を迎える。豪雨対策や各種懸案で休暇中もまともに休めない大統領だが、休暇中の政局構想の項目には、「龍山時代の対国民疎通」も含まれる必要がある。発言通り「もっと面倒になっても」、より頻繁に質問を受けて答える双方向の意思疎通が、国政の信頼を高め得る。間仕切り壁を越えて記者と対面する方法も、ブリーフィングルームで懸案を持って懇談会を開く方法もある。キャンプデービッドで開かれる韓米日首脳会談は良い機会だ。