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ワグネル傭兵が去った中央アジアと中東でISの勢力拡大を懸念する声

ワグネル傭兵が去った中央アジアと中東でISの勢力拡大を懸念する声

Posted July. 11, 2023 08:17,   

Updated July. 11, 2023 08:17

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「中東とアフリカからのワグネルの撤退に伴い治安が悪化することを一部の住民が心配している」

ロシアのプーチン大統領に対する武装蜂起に失敗した民間軍事会社「ワグネル」所属の傭兵たちが中東とアフリカ駐留地を相次いで離脱し、治安の悪化を懸念して現地住民が不安に震えていると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが9日付で報じた。ワグネルは、政情不安が深刻で、殺人や強盗など民間人に対する犯罪が横行するシリア、中央アフリカ共和国、マリなどで現地の軍・警察に代わって治安を維持してきた。

ワグネルの傭兵が多数駐留していた中央アフリカ共和国内のナナ=バカッサ・キャンプ付近の住民は、ワグネルの完全撤退を懸念している。最近、多くの傭兵が調理道具やマットレスなど生活必需品まで売り払い、帰国を準備しているためだ。現在、このキャンプ付近に残っている傭兵は15人だけ。最近、首都バンギでもワグネルと契約していたロシア航空機2機がロシアに向かった。ある住民は同紙に、「治安の空白を懸念して深刻な不安が地域社会に広がっている」と吐露した。

2011年から内戦が続き、政府軍、反政府軍、クルド人、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」(IS)の残党などで混乱を来しているシリアの状況も似ている。ワグネルは、かつてISが支配していた一部の油田とガス田を18年頃に奪還した後、油田収益の25%を受け取ってきた。このため、ワグネルが撤退すれば、ISが再びこれを狙うのではないかと懸念されている。実際、ロシア国防省は最近、北西部パルミラにある油田及びガス田の管理主体をワグネルから民兵隊「ISハンターズ」に移管した。

ISが中東で活動を再開する動きも顕著だ。米中央軍司令部は9日、ISのウサマ・ムハジール幹部を無人機「MQ-9リッパー」(写真)で7日に殺害したと明らかにした。「空の暗殺者」と呼ばれるこの無人機は、2018年にISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者、20年にイラン・イスラム革命防衛隊ガセム・ソレイマニ司令官の暗殺などにも使われた。

米中央軍のマイケル・クリラ司令官は、「ISがシリアだけでなく、それ以外の地域にも脅威として残っている。同盟国と共にIS撃退戦を続ける」と強調した。


イ・ギウク記者 71wook@donga.com