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世界主要都市のオフィスビルがガラガラ、不動産発の金融危機が「秒読み」

世界主要都市のオフィスビルがガラガラ、不動産発の金融危機が「秒読み」

Posted June. 24, 2023 08:29,   

Updated June. 24, 2023 08:29

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3月、米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たんに触発されたグローバルな銀行危機が沈静化するかと思いきや、新たな金融危機の恐怖が再び押し寄せている。今度は世界の主要都市のオフィスビルが雷管だ。3年以上コロナパンデミックを経験してから拡大した在宅勤務や企業の構造調整の影響で商業用ビルの空室率が高まり、資産価値が急落している。このような不動産に投資したり、融資をした金融機関の債権の不良化が一気に起きる場合、世界の金融システムは大きな衝撃を避けられない。

今年3月末、世界17大都市のうちニューヨーク、香港、上海、ロンドンなど10ヵ都市の平均空室率は2008年グローバル金融危機直後の水準を上回った。ニューヨークではエンパイアステートビル26棟分のオフィスが空室で、香港のランドマークである長江センターも4分の1が空室だ。米国ではこのような商業用不動産向け融資金の80%を、破たんしたSVBやシグネチャー銀行のような地方の中小銀行が借りている。「ウォール街の皇帝」と言われるJPモルガン・チェイスのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)らが最近、商業用不動産発の金融危機の可能性を警告した理由だ。

問題は、今回の危機を他国事として片付けることはできないというところにある。韓国の金融機関が海外不動産にファンドの形で投資した規模は74兆ウォンの上る。そのうち70%に当たる50兆ウォン以上が商業用不動産に入っている。国民年金も約40兆ウォンを海外不動産に投資している状態だ。最近、韓国の金融機関が投資したか、保有している海外不動産の価値が急落して資金回収に支障が生じたり、大規模な損失を甘受しなければならない状況が続出している。

さらに、韓国の金融機関は主にマンション建設などに投資されたプロジェクトファイナンス(PF)融資の債権不良化という国内のリスクまで抱えている。昨年9月末基準のPF貸出規模は163兆ウォン。金利と建築費が同時に急騰し、不動産市場まで沈滞して開発事業が中断され、融資を行った貯蓄銀行や証券会社の延滞率は急速に急騰している。

グローバルな商業用不動産の空室事態はパンデミックによる社会の構造変化から始まっているだけに、緊縮が終わり、景気が回復しても短期間での解決は望めない。金融当局は、正確な海外投資の実態を把握し、各金融機関の融資金の早期回収を促し、国内投資家の被害拡大を防がなければならない。これと共に、海外で始まる商業用不動産ショックが国内金融市場に移り、PF貸出危機に広がる可能性を徹底的に遮断する必要がある。