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アンダーソン監督特有の「幻想的ミジャンセン」、奇抜なシーンで異世界に招かれた気持ち

アンダーソン監督特有の「幻想的ミジャンセン」、奇抜なシーンで異世界に招かれた気持ち

Posted June. 20, 2023 08:14,   

Updated June. 20, 2023 08:14

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映画「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)や「ムーンライズ・キングダム」(2012年)等を通じて、独歩的なミジャンセンと色味でファンの心をときめかせたウェス・アンダーソン監督の新作「アステロイド・シティ」が、28日公開される。映画は、監督の前作と同じくらい才気溌剌としたシーンでいっぱいだ。先月開かれた第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の招待作でもある。

映画の背景は、1955年の米国の仮想小都市「アステロイド・シティ」だ。隕石が落ちたここでは、毎年これを記念する「小惑星の日」の行事が開かれ、天文学分野で頭角を現した青少年たちが招請される。

主人公の従軍写真記者のオギー・スティーンベック(ジェイソン・シュワルツマン)は、息子ウッドロウ(ジェイク・ライアン)を連れてアスタロイド・シティに向かう。そして「小惑星の日」の行事に娘を連れてきた有名俳優ミジー・キャンベル(スカーレット・ヨハンソン)に出会う。行事の途中、参加者たちは予期せぬ事件で都市に隔離され、混乱が始まる。

アンダーソンの映画らしく、目が離せなくなる美しいミジャンセンが目立つ。果てしなく広がる黄土色の砂漠とミント色の空、登場人物たちの赤くて黄色い服装を見ていると、まるで違う世界に招待されたかのようだ。強迫症のある人が作ったように、すべてのことが秩序整然として対称的だ。

超豪華キャストも目立つ。シュワルツマンとヨハンソンだけでなく、スティーンベックの義父スタンレー・ザク役にはトム・ハンクス、科学者ヒッケンルーパー博士役にはティルダ・スウィントンが出演する。この他にもスティーヴ・カレル、マーゴット・ロビー、ホン・チャウなどハリウッドのトップ俳優たちが助演として登場する。

内容は、アンダーソンの前作と同様に難解だ。映画は、アステロイド・シティで起きること自体が演劇という設定の「劇中劇」の形式を帯びている。

演劇のように、幕と場を分けて色とりどりのアステロイド・シティの話の間に、白黒で演出者と俳優たちが登場する。アステロイド・シティの外で、スティ-ンベックはジョーンズホール、キャンベルはマーセイディス・フォードという俳優だ。アステロイド・シティという舞台で演技をするという設定だ。どの話が本物で、どの話が演劇なのか見分けがつかない。演劇のトーンに台詞量が多く、映画を一度で理解するのは容易ではない。

それにもかかわらず、映画は好評を博している。今年のカンヌ国際映画祭で上映後、6分間スタンディングオベーションを受けた。アンダーソン映画らしく、奇抜で美しいと評価されている。

ヨハンソンは、「アンダーソン監督から(キャスティング提案の)電話を受けて、飛び上がるほど嬉しかった。コロナ禍の隔離期間中に受けた最高の電話だった」と述べた。


崔智善 aurinko@donga.com