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哲学者の地

Posted March. 07, 2023 08:16,   

Updated March. 07, 2023 08:16

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ローマ人のギリシャ愛はすごかった。貴族階級の家はギリシャ人を家庭教師にしなければならなかった。ローマで成功するには法律家になるのが一番だったが、大衆を魅了する言論と論理を駆使する有能な弁護士になるにはギリシャ留学が必須だった。カエサルもギリシャ留学を経て法律家となり、政界入りした。

このような文明と教養の地に歴史的な戦場が多いとは信じがたいことだろう。紀元前168年、アエミリウス・パウッルスは、オリンポス山の下のピュドナで、マケドニアの長槍歩兵を撃破した。この戦いでローマ軍の新型戦術陣形の威力が証明され、ローマ軍は世界を制覇する自信を得た。アエミリウス・パウッルスの息子、スキピオ・アエミリアヌスは、第三次ポエニ戦争でカルタゴを完全に滅ぼした。ローマが帝国になる過程で起こった2度の決定的な戦い、カエサルとポンペイウスが対峙したファルサルスの戦い、カエサルの死後、彼の後継者であるオクタヴィアヌスとアントニウスがカエサルの暗殺者と戦ったフィリッピの戦いは、イタリアの地ではなくギリシャで起こった。

ビザンツ帝国時代、第1次世界大戦の時も、ギリシャで国際的な勢力が何度も衝突した。ギリシャが戦争の地となった理由は、地政学的要因だ。地形が要塞建設に有利で、ヨーロッパと中東、オスマン帝国がつながる交差点だった。21世紀の韓国はどうか。米国、日本、ロシア、中国が対峙する十字路だ。冷戦終結以降、この意味は少し弱まったかと思いきや、中国が台湾に対する脅威を強め、地政学的脅威の指数が大幅に上昇した。中国の台湾攻撃は「一つの中国」という中国の国内問題ではない。今や帝国主義国家となった中国の脅威が東南アジアに拡大し、韓国と日本の生命線である海洋貿易路は中国の管轄下に入る。軽空母程度では対処できる状況ではない。この脅威に対処するために米国―インドをつなぐ「クワッド」が結成され、韓国の外交的立場を困難にさせている。

地政学的立場は固定されたものではなく、絶えず変化し、生存のための知恵を求める。いち早く悟り、準備する者が生き残る。戦争史の永遠の真理だ。