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人権を強調するツイート攻勢に出たブリンケン氏

人権を強調するツイート攻勢に出たブリンケン氏

Posted December. 23, 2020 08:16,   

Updated December. 23, 2020 08:16

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各国が関心を寄せている割に彼は最近、あまり発言がない。インタビューもなく、この約1ヵ月間、ツイッターの投稿も10件ほどだ。バイデン次期米大統領が国務長官に指名したトニー・ブリンケン氏(58)だ。

 

ツイートは活発ではないが、ブリンケン氏のツイートを読んでみるとある程度「一貫性」がうかがえる。最近起こった国際人権問題に対しては、短いが忘れずに立場を明らかにした。ほとんどが人権軽視国家に対する警告と批判だ。

 

先月、エジプトの人権団体が外国大使らと懇談会を開き、自国の人権実態を告発すると、エジプト当局は団体メンバー3人をテロの容疑で逮捕した。するとブリンケン氏は、「外国大使に会うことは犯罪ではない」とツイートした。同月、エチオピアのアビー首相が反政府軍に対して軍事作戦を行い、数百人の死者が出て、数万人が避難するなど情勢が不安定になると、ブリンケン氏は「エチオピアの人道主義的危機を深く懸念する」と警告した。今月、イラン政府が反体制ジャーナリストのルホラー・ザム氏を処刑すると、ブリンケン氏は関連報道をツイッターにリンクし、不満を迂回的に示した。 

ただ北朝鮮に対しては非常に慎重だ。国務長官に指名された後、ブリンケン氏の北朝鮮に関するメッセージは一度もない。北朝鮮も、バイデン氏やブリンケン氏の指名について何の発言もない。

しかし、ブリンケン氏の北朝鮮に対する認識はすでに広く知られている。大統領選を控えた9月のインタビューで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「最悪の暴君の一人」と述べた。ブリンケン氏にとって北朝鮮は、暴君が暴政を敷く最悪の人権侵害国家だ。

このような認識は、過去の行動からも感知される。ブリンケン氏は2015年、北朝鮮の人権侵害事例を収集する国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のソウル事務所の設立を支持した。翌年には、北朝鮮との関係改善の条件の1つに人権侵害行為の中止を取り上げた。

ブリンケン氏が人権問題に強い関心を持つのは、成長背景とも関係がある。ブリンケン氏の先代は人権侵害被害者だからだ。

ブリンケン氏は先月、国務長官に指名され、所感を明らかにする席でこのような家族史を詳細に紹介した。祖父はロシアのユダヤ人迫害から逃れ、祖母はハンガリーの共産治下を逃れて米国に来たという。小学生の時に離婚した母親が再婚した義父は、ポーランドのビャウィストクで虐殺された900人の子どもの中で唯一生き残ったホロコーストの生存者だと紹介した。これだけではない。ブリンケン氏は今月ツイッターにこのような家族史に再び触れ、動画を投稿し、「私の家族史が私を公職に導いた」と述べた。国務長官になるなら人権問題を等閑視しないという約束とも読めた。

ブリンケン氏は、バイデン氏の「alter-ego(うり二つ)」と呼ばれる。バイデン氏が上院外交委員会で活動した時に親交を築き、20年間、苦楽を共にした。主要政策に対する信念を共有しているということだ。実際、ブリンケン氏が正恩氏を暴君と呼んだように、バイデン氏は大統領選討論会で「悪党(thug)」と呼んだ。北朝鮮に対する認識も似ているわけだ。

このため、北朝鮮が対話に応じないなら、バイデン政権が北朝鮮の人権を問題にして追加制裁に出る可能性がある。トランプ大統領の米国第一主義を廃棄して、民主主義と人権、法治の強調を予告したバイデン次期政権が北朝鮮の人権問題を指摘するのは予定された手順だ。

このような状況で、与党が強行処理した対北朝鮮ビラ禁止法が国際的な人権問題に浮上する様相だ。国際人権団体だけでなく、米政府や議会、英議会まで加勢して韓国政府の人権守護の意思に疑念を呈している。

問題は、人権を重視するバイデン政権が来月発足すれば、対北朝鮮ビラ禁止法が韓米間で一層尖鋭な争点に浮上する可能性が高いということだ。対北朝鮮人権団体がビラ散布を試みて政府が対北朝鮮ビラ禁止法を実際に適用すれば、国際社会の人権侵害の懸念が現実になりかねないためだ。政府与党が国際社会の懸念を内政干渉だと一蹴して法施行を強行すれば、葛藤と混乱だけを大きくする。普遍的価値である人権問題の指摘は当然受け入れなければならない。


黃仁贊 hic@donga.com