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「シンガポール宣言」から2年 非核化に一歩も進まず、米「北朝鮮の行動に失望」

「シンガポール宣言」から2年 非核化に一歩も進まず、米「北朝鮮の行動に失望」

Posted June. 11, 2020 08:14,   

Updated June. 11, 2020 08:14

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「戦争から平和に行く歴史的な道しるべになると期待する」

2018年6月11日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は当時、翌日のトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のシンガポール米朝首脳会談についてこのように述べた。しかし、歴史的な「シンガポール宣言」から2年経ったが、米朝非核化交渉はまだ一歩も前に進んでいない。北朝鮮は、米朝の仲裁者を自任した韓国を敵と規定し、南北間のすべての連絡チャンネルを一方的に遮断し、米国に対して徐々に矛先を向けている。北朝鮮が近く米国に対して武力示威に出るという観測が流れる中、一部では南北関係だけでなく米朝関係も2年前に後退する可能性があると懸念されている。

米国務省は9日(現地時間)、最近続いている北朝鮮の強硬警告について、「北朝鮮の最近の行動に失望した」とし、「北朝鮮が外交と協力に戻ることを求める」と述べた。米国が北朝鮮に対して「失望」という表現を使ったのは異例だ。昨年末、北朝鮮が「クリスマスプレゼント」と言って挑発の可能性を示唆した時、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やポンペオ国務長官ら高位当局者が類似の発言をしたことはあるが、当時は「もし約束を破るなら(挑発するなら)」という仮定を前提にした警告だった。

米国が「失望」という異例の表現で、北朝鮮の態度変化を求めたのは、シンガポール米朝首脳会談から2年間、北朝鮮の非核化問題が何の進展もなかったためだ。2018年の第1回米朝首脳会談で採択されたシンガポール宣言は、△米朝間の新たな関係構築、△韓半島平和体制の構築、△韓半島の完全な非核化、△戦争捕虜および戦争行方不明者の遺骨の米国送還などを含む。しかし、ハノイ米朝首脳会談の決裂で、非核化交渉が1年3ヵ月間、長期膠着状態に陥り、米朝関係の正常化など残りの3つの条項は何の後続措置もなく、事実上の死文化状態だ。

 

特に米国内では、本格的な「韓国たたき」に出た北朝鮮が近く米国に方向を変えるという観測が流れている。米大統領選まで5ヵ月残っており、「核戦争抑止力の強化」を公言した正恩氏が武力示威や挑発を強行することで、大統領選局面を揺さぶる可能性が高いということだ。北朝鮮が求める制裁緩和に対する変化の兆しがトランプ政権内で見えない状況で、トランプ氏のライバルである民主党のバイデン前副大統領は、「トップダウン」方式ではなく実務交渉を強調し、正恩氏を「ならず者」、「独裁者」などと呼んでいる。

このため外交関係者の間では、「北朝鮮が挑発に明け暮れた2017年に戻るのではないか」と懸念する声が出ている。北朝鮮は文大統領の就任5日後の17年5月14日に中長距離ミサイルを発射し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射、6回目の核実験を強行した。クリストファー・ヒル元米国務次官補(東アジア太平洋問題担当)も、「北朝鮮が韓半島問題で以前の脚本に戻っている」とし、「この脚本でただ一つ新しい要素は、北朝鮮が韓米同盟をテストしていることだ」と指摘した。韓米が緊密な協力を通じて北朝鮮の脅威に共同で対処しなければならないという意味だ。


ハン・サンジュン記者 ワシントン=イ・ジョンウン特派員 alwaysj@donga.com · lightee@donga.com