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[オピニオン]中国女性科学者のノーベル賞

[オピニオン]中国女性科学者のノーベル賞

Posted October. 07, 2015 11:27,   

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今年のノーベル生理医学賞を共同受賞した中国中医科学院の屠呦呦(トゥ・ユユ)終身研究員が、中国の英雄に浮上した。屠氏は2010年の劉曉波(平和賞)、2012年の莫言(文学賞)に次ぐ3度目の中国人受賞者だが、科学分野での初受賞者であり、格別な意味を持っている。さらに、中国で最高科学者に与えられる院士や博士号、留学経験のない「3無の科学者」だった。100万人を超えるマラリア患者を助ける特効薬・アーテミシニンを開発したが、女性であり、博士でないことを理由に、これまでそれ相応の評価を受けられなかった。

◆毛沢東は1950年、初の全国保健衛生会議で、保健原則の一つとして、「中医と西医とはお互い、団結しなければならない」という「中西結合方針」を打ち出した。日本が明治維新で西洋医学を取り入れ、伝統医学を廃止したのとは対比される措置だ。その中心に位置している機関が、ほかならぬ1955年に設立された中国中医科学院だ。この時から中国医療は、伝統医学と西洋医学とが融合する形で独特に発展してきた。中医研究院は2005年、中医科学院に格上げされた。

◆浙江省出身の屠は1955年、北京大学薬学部を卒業した後、中医研究院に入り、85歳となった今まで、中国伝統の天然薬物から新物質を探すことに打ち込んできた。ノーベル賞を抱かせたマラリア撲滅薬も、1600年前の古代医書を読んでいたところからインスピレーションを得て、中国伝統薬草のクソニンジンから抽出した。屠の名の呦呦(ff)は、詩経から取ってきたものだが、世界的にその名にふさわしい行動をしたことになる。非科学的であり安全性が落ちると言われてきた中医学への批判や不信も、今回の受賞で相当解消されることになった。

◆伝統医学において、韓国は、中国や日本とは異なる道を歩んできた。漢方医学は西洋医学とは別に、独自的勢力や領域を構築した。政府は、漢方医学を創造的に継承するという趣旨で、1994年、韓国漢方医学研究院を立ち上げたが、漢方薬由来新物質の開発や臨床試験においてまだ、これと言った成果を出せずにいる。第一歩を踏み出したことで満足することはできないが、許浚(ホ・ジュン)の東醫寶鑑を保有している国として、中国の目覚ましい成果が羨ましいばかりだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com