海外からの人工中絶薬が、オンラインを通じて国内で違法に流通していることが分かり、警察が捜査に乗り出している。産婦人科での人工中絶手術が事実上亡くなったことを受け、割合簡単かつ安価で胎児を降ろすことのできるいわば、「セルフ中絶薬」が早いスピードで広まっていると言う。主に、タイなどの東南アジアに住んでいる韓国人らが、現地で薬を代わりに購入した後、35万〜50万ウォンを受け取って、韓国に国際配送するやり方で取引されている。
問題の薬は、「RU486(ミフェフリストン、ミフェジン、ミフェフレックス)」で、国内で販売されている事後避妊薬とは異なり、受精卵が着床に成功し、胎児が育っている状態で中絶させる薬だ。韓国では中絶は違法であり、公には流通できない。フランスや米国などでも売られているが、必ず医師からの診察を経た後、出血の危険性がない妊婦に限り、妊娠初期段階でだけ服用することができる。しかし、国内では専門家の診断や服用案内なしに、「妊娠9週前までに服用すれば、必ずおろすことができる」と、オンライン上で間違った情報が流れており、乱用やそれによる副作用が深刻なのが現状だ。
記者が、グーグルやネイバー、ダウムでそれぞれ、「ミフェフリストン」、「RU486」などの薬名で検索したところ、薬を販売するとする十数件の広告の書き込みが現れた。このうち2人の販売者に、まだ結婚計画のない学生を装い、電子メールを送った結果、両方共に、24時間内に「薬を飲みさえすれば、胎児をおろすことができる」という内容の返信がかえってきた。
タイで薬の購入代行をしていると言う一人の男性販売者は、「妊娠7週以内に飲めば、流産の効果がある。服用後、8〜12日以内に出血があれば、中絶に成功したことになる。死んだ胎児を体外に排出させる誘導分娩剤までを含め、5錠、前払いで35万ウォン、配送期間はソウル・京畿(キョンギ)は2日、その他の地方は3日だ」とする返信を送ってきた。
その後の国際電話の中で氏は、「嘔吐やめまいは起こりかねないが、それもしばらく我慢すればすむことであり、不安がる必要などない」とし、「化粧品のようにうまく包装して送れば、税関でも絶対摘発されることなどなく、気にしなくてよい」と安心させた。氏は電話の間中、「我々が販売しているのは、中国製の偽物とはレベルの違う米国製の本物だ」と強調した。他の販売者も同様に、「2日間で薬を手にすることができ、希望するなら、まず金を振り込んでほしい」とする内容の電子メールを送ってきた。
専門家の診断なしに中絶薬を服用した後、後遺症に苦しんでいる被害者も容易に見つけることができる。オンライン上の掲示板ごとに、「薬を飲んだ後、下血が止まらない」。「薬を飲んだのに、妊娠テスト機に陽性となっている」などの関連書き込みが相次いでいる。
特に最近、大半の産婦人科では中絶手術を厳しく禁じており、子供への責任が取れない青少年からの問い合わせや相談が殺到している。Aさん(16)は、ネイバーのQ&Aコーナーに、「昨年、中絶薬を飲んで赤ちゃんを下ろしたが、副作用が激しく、不妊になるのではないか不安だ」という書き込みを掲載した。オンライン上での取引過程で、詐欺も少なからず起きている。自分を未成年者の生徒だと紹介したBさんは、「中絶手術を受けることができず、彼となんとか50万ウォンをかき集め、タイの販売業者に送ったが、振込み直後から連絡が取れなくなった」とし、「違法中絶薬を購入しようとして起きたことであり、警察に通報すらできずにいる」と訴えた。
「本気で産婦人科を心配する医師らの会」のスポークスマンであるチェ・アンナ産婦人科専門医は、「妊娠周期を正確に知らず、薬を誤用した場合、出血過多で救急手術を受けることもある」とし、「自殺サイトで青酸カリが流通されているのと同様のことなのに、政府はオンライン上での違法中絶薬の流通に手を拱いている」と指摘した。
ソウル鍾路(チョンノ)警察署は、口座追跡などを通じ、広告の書き込みを掲載した販売屋について追跡している。
jhk85@donga.com