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[社説]国民に数兆ウォンの負担が降りかかる「対北朝鮮プロジェクト」

[社説]国民に数兆ウォンの負担が降りかかる「対北朝鮮プロジェクト」

Posted May. 02, 2007 08:34,   

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大統領選挙を控え、汎与党圏の「北朝鮮プロジェクト」が全方位で推進されている。金爀珪(キム・ヒョクギュ)議員が団長を務めるヨルリン・ウリ党の北東アジア平和委員会所属の南北経済交流協力推進団は今日、平壌(ピョンヤン)で金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員会委員長と会い、大規模の南北経済交流拡大策について話し合いを行う。開城(ケソン)〜ソウル大運河建設、海州(ヘジュ)重工業団地の造成を含む新黄海圏の経済特区推進など、さまざまな大規模プロジェクトが話し合われる見通しだという。政府と無関係な同訪朝団が何の資格、何の権限で次期政権と国民にぼう大な負担をもたらす事業を推進すると言っているのか、わけがわからない。

金議員サイドは、「2・13北京合意の動力を生かし、北朝鮮の核問題を解決し、南北関係の改善を通じて韓半島の恒久的な平和体制を構築するため」と主張している。これを額面どおりに受け止めるとしても、このようなやり方の対北朝鮮事業が南北関係の改善と恒久的な平和体制の構築にプラスにならないという事実は、これまでの南北関係史が雄弁にものがたっている。

また、南北関係は厳然たる法の規制を受ける。05年12月に制定された「南北関係発展に関する法律」は、韓半島の平和増進と南北経済共同体の具現、民族同質性の回復と北朝鮮に対する支援の必要性を規定する一方で、「この法に従うことなく、何人も政府を代表して北朝鮮と交渉または会談する行為はできない」ときちんと定めている。だれが金議員らにこの法に定められている政府代表の資格を与えたのか。ウリ党はもう与党でさえない。

百歩譲って、南北間の政府レベルのチャンネルが閉鎖されているならともかく、今は南北長官級会談、南北経済協力推進委員会、赤十字会談が稼動中だ。今日だけ見ても、開城で、南北間で軽工業・地下資源協力会議が開かれる。また、バンコ・デルタ・アジア(BDA)銀行問題で時間が引き延ばされているが、6者協議当事国間で公式・非公式の接触も活発に行われている。そのような中で、特定政党、しかも自ら解体を急いでいる「なくなる政党」が大型北朝鮮プロジェクトを推進するのは容認できない越権だ。

政府が同訪朝団の訪朝を許容した経緯も釈然としない。訪朝団の金鍾律(キム・ジョンリュル)議員は、「関連省庁との間で議題と実現可能性についてのコンセンサスが得られた」と述べた。金議員の言葉が事実であれば、それこそ盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の「反国民性」を自ら露呈する行動だ。ウリ党の訪朝団が北朝鮮と協議すると明らかにした事業の中で、平壌〜開城間高速道路の改善補修、平壌〜海州間高速道路の建設だけでも最低で1兆ウォンかかる。残りの事業まで考えれば、どれほど巨額の税金が投入されるかわかったものではない。

現政権は、金大中(キム・デジュン)政権の対北朝鮮秘密送金事件をきっかけとし、対北朝鮮政策の透明性を高めるとして、南北関係発展法まで制定した。そうしておきながら、ウリ党の対北朝鮮プロジェクトを黙認または力添えしたとすれば、大統領選挙をにらんだ国民向けの茶番劇と非難されても仕方がない。現政権は盧大統領の側近の安熙正(アン・ヒジョン)氏の対北朝鮮秘密接触を「大統領の当然の職務行為」と強弁し、2・13合意のインクが乾く前に対北朝鮮重油運送契約を結んだため、36億ウォンの契約金を飛ばしてしまった。

監査院が最近、「(対北朝鮮事業は)高度の政治的行為」として、南北協力基金に対する監査を行わないと決定した背景も疑わしいところだ。結局、これらすべてが「大統領選挙をにらんだプロジェクト」でないとしたら、説明のできない出来事だ。

ただでさえ李海瓚(イ・ヘチャン)元首相の訪朝と米国訪問をめぐって数々の疑惑が提起されている。南北首脳会談と韓国—北朝鮮—米国—中国の4カ国首脳会談の推進を通じて、大統領選挙の勢力図そのものに揺さぶりをかける思惑だということだが、汎与党圏の対北朝鮮プロジェクトはこのような観測が根も葉もないことではないという考えを抱かせる。