先月、ソウル麻浦区(マポグ)にある弘益(ホンイク)大学前のあるクラブ。
暗くなり、ネオンサインが明るくなると、20、30代の若者たちが地下のクラブに一人、二人と入ってくる。
20代後半の女性3人が席に座ると、ビールを飲んでいた若い男性がうれしそうにあいさつをしてきた。
彼女たちが「おじさん、聖水!」と叫んで舞台に出ると、男性はビール3本を注文し、白い錠剤を一錠ずつ入れた。「聖水」は、麻薬であるエクスタシーが入った飲み物を称する隠語。
外国係のデザイン会社に通う彼女たちは、実績のためストレスを受けた際、エクスタシーが入ったビール1杯飲んでダンスをすれば、元気になると話した。
1990年代後半から、ソウル江南(カンナム)や梨泰院(イテウォン)のクラブ、弘益大前のクラブに広がったエクスタシーが、司法当局の取り締まりを物ともせず、依然として流通している。
高位外交官の息子である大学生A(24)氏。しばらくカナダに滞在した彼は、エクスタシー300錠を30万ウォンで購入した後、3、4月と2回にかけて、たばこ箱に隠して密搬入した。父親のお陰で外交ビザを持ったA氏は、入国審査で簡易検索を受けただけでパスした。
東南アジアを経て入ってきたある北朝鮮脱出者も、エクスタシーを密かに搬入して、昨年4月に警察につかまった。彼の兄B(25)氏は、押収されなかったエクスタシー10錠を江南のナイトクラブで30万ウォンで販売した。
彼らは、江南区清淡洞(チョンダムドン)及び瑞草区(ソチョグ)瑞草洞のナイトクラブや弘益大前のクラブで、エクスタシーを販売してきた。
Aはクラブに出入りしながら、知り合った人に1錠5万〜10万ウォンを受け取って販売した。そのような手口で1500万ウォンを儲けて、高級バイクを買った。
地方医大の同窓で、ソウルの総合病院でそれぞれ整形外科と家庭医学科の医師に在職しているC(31・女性)氏とD(32)氏。
彼らは、診療ストレスを解消するために、弘益大前のクラブを尋ねた昨年2月、「良い薬がある」と近付いた誰かからエクスタシー11錠を10万ウォンで買った。
以後3ヶ月間、クラブに出入りしながら、エクスタシーをミネラルウォーターに入れて飲んだ彼らは、麻薬の誘惑から脱け出すことができなかった。
ソウルにあるS大学の講師であるF(28)氏も、知人の紹介でエクスタシーに接して、中毒になった。
ソウル地方警察庁の麻薬捜査隊は5日、エクスタシーを密搬入して販売したA氏とB氏を麻薬類管理に関する法律違反の疑いで拘束する一方、C氏など21人を同じ疑いで在宅起訴して捜査を拡大している。
警察は、「彼らは好奇心で麻薬に接した後、頭痛など副作用に苦しみながらも中毒になり、抜け出すことができなくなった」と話した。
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