1999年5月、米国のクリントン大統領はユーゴスラビアのミロシェビッチ大統領をターゲットにした、第1級の秘密計画を承認した。ハッカーたちがミロシェビッチ大統領の外国銀行口座に侵入して取引を中断させるように仕向ける内容も、同計画に含まれていたという。「サイバー戦」は、こうして人類の戦史に公式登場を果たした。以後、世界各国はサイバー戦の能力開発に向けた競争にしのぎを削っている。米国やロシアなど10カ国あまりは、すでに相当レベルのサイバー戦遂行能力を備えている。
◆コンピューターとインターネットは「非暴力手段の言語を使う戦争」という、心理戦の「核心的な兵器」として浮上した。ユーゴ戦などで、インターネットとeメールが見せた威力を考えると、心理戦とサイバー戦を切り離して考えるのは難しいくらいだ。サイバー戦のもう一つの特徴は、軍人と民間人の区分がないということだ。2001年、米国の偵察機と中国の戦闘機の衝突事故を機に、両国は「銃声なき戦争」を経験した。国レベルの敵対行為はなかったものの、両国のネチズンによるウェブサイト上の攻防は「低強度のサイバー戦争」だったと言うのに十分だった。
◆独島(ドクト、日本名・竹島)の領有権をめぐる日本の執拗な態度と、韓国のイメージに対する日本ウェブサイトの悪意に満ちた歪曲から始まった、韓日ネチズン間の感情が激化している。自動プログラムなどを通じて、相手国の特定サイトを麻痺させるなど、一部サイバーテロに近い手段まで動員している。韓国の一部ネチズンたちは「毒をもって毒を制す」といった形で、日本の文化に対する批判のレベルを高めている。
◆日本の小泉首相が元日から、戦犯の位牌が祭られている靖国神社を参拝し「竹島は日本の領土」などと、無理を通そうとしているその裏には、日本内の右翼を刺激して、政治的な利得を勝ち得ようとする思惑があるようにみられる。これに対し、我々が決然とした意志と憤りを示すのは当然のことだろう。しかし、日本の文化に対する悪意に満ちた誹謗やサイバーテロを慎んでこそ、成熟した姿勢と言えよう。右翼よりは、韓国に好感を抱いていたり、少なくとも、真実の前に謙虚な姿勢を見せる日本人の方がはるかに多いに違いないからだ。歴史と真実を正しく伝え、彼らの良識に訴えることが、心理戦に勝つ道ではないだろうか。
千光岩(チョン・グァンアム)論説委員 iam@donga.com