「フランケンシュタイン」、「ドラキュラ」、「指輪物語」、「ハリー・ポッター」の共通点は何か。全て英国作家が書いたファンタジー(Fantasy)文学だということだ。全世界で2億冊売れたという「ハリー・ポッター」シリーズをはじめとして、英国のファンタジー文学が世界でその威力を発揮している。「ハリー・ポッター」は、ビートルズ以来英国が輩出した最高の文化商品となった。「ハリー・ポッター」を書いたジョアン・ローリングの他にも、別の英国作家が書いたファンタジー小説が各国の書店を飾っている。世界文学の潮流はまさに、ファンタジー文学の全盛期に向かっている。
◆英国のファンタジー文学は長い歴史を持っている。メアリ・シェリーの「フランケンシュタイン」は19世紀英国で流行した怪奇小説(Gothic novel)の一つで、J.R.R.トールキンの「指輪物語」は20世紀半ばを代表する英国ファンタジーの古典である。「ハリー・ポッター」はある日いきなり作られたものではなく、英国文学の伝統を基盤に誕生したものだ。「文化強国」の英国がうらやましくなる。ファンタジーの伝統は韓国にもある。小説家である卜鉅一(ボク・コイル)氏は伝統文学の中で、「九雲夢」、「金鰲新話」、「洪吉童伝」を代表的なファンタジー小説として挙げている。最近、韓国のファンタジー作家が次第に脚光を浴びはじめたことは、韓国でもファンタジー文学が花開く可能性を見せてくれている。
◆昨日ソウルで韓国と英国のファンタジー文学専門家が集まってセミナーを開いた。両国のファンタジー文学を比較分析し、今後の動向を展望した。やはり、私たちの関心事は、韓国でも「ハリー・ポッター」のような作品を作り出せるかということだった。韓国人の文化的な想像力、創造力は優れている。日本に大きく遅れを取っていた韓国の大衆文化はアジア全域で「韓流熱風」を作り出すほど驚くべき成長を遂げた。韓国映画は、巨大資本のハリウッド映画と張り合って善戦している。貧しかったバツイチのジョアン・ローリングが「ハリー・ポッター」の成功でわずか数年で英国女王より金持ちになるほど、文化の付加価値は爆発的だ。韓国人の独創的なアイデアと創造力を文化分野で発揮すべき時が来た。
◆先日、韓国政府も「文化強国」を宣言したが、キャッチフレーズだけで解決できるものではない。文化が発展できる基盤造成が重要だ。英国のチャールズ皇太子が、「ハリー・ポッター」を読んで、「こんなに美しく書けるということに驚いた」と語ったように、韓国も大統領をはじめ政策決定者が文化育成に愛と意志を見せなければならない。だが、文化界内部でさえファンタジー文学をありきたりの通俗的な小説ではないか、として気乗り薄な様子もなくはないようだが、発想の転換もそれに劣らず大切なようだ。
洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com