日本の執権自民党の総裁選挙に立候補し、日本の総理職を狙っている亀井静香政調会長の自衛隊と関連した発言は、自民党内の保守勢力の本音を表わしたものとして読み取られる。
彼の発言は、駐韓米軍が攻撃を受ける場合は、日本も集団的自衛権を行使して自衛隊を朝鮮半島に派遣し、米軍と共に武力行使の出来るとのことを示唆したものである。
その理由を「日本の安全保障に影響を及ぼすためだ」と説明はしているものの、彼の発言は、自衛隊の出動根拠を相当緩和し、出動の範囲を大幅拡大できる可能性を示唆したとの点で注目される。
軍隊の保有と戦争の放棄を明記している現行の日本憲法上の自衛隊は、事前攻撃や戦争の目的に動員され得ない。ただ、自衛隊法(第76条防衛出動)によって、外部から日本が直接的な武力攻撃を受けるか受ける恐れがある時に限って出動可能だ。いわゆる専守防衛の概念だ。防衛出動の場合も、国会の承認を得なければならなく、そういう余裕のない場合は事後承認を得なければならない。
亀井政調会長は「国際紛争に積極的に参与し、同盟国家として武力行使をする形では自衛隊の協力は不可能だ」と述べ、あくまでも米軍との協力関係でのみ自衛隊の出動が可能になるとのことを示唆した。
米軍を支援するための自衛隊の出動も、99年日米新防衛協力指針(新ガイドライン)によって相当拡大されたものの、これもあくまで米軍活動の後方支援や自国民の救出などに限られている。
これを知らないはずのない亀井政調会長がこういう発言をした理由は、米軍との共助という名の下で自衛隊の活動範囲を拡大し、厳しい自衛隊の出動根拠を緩和するためのことのようだ。勿論、これを実現させるためには自衛隊法も改正し、米軍とのガイドラインも改正すべきだ。
自衛隊法の改正は自民党内の保守勢力のかねてからの願いだった。既に試案も講じておいた。ただ、野党の反対と周辺諸国の懸念のために公開的に話し合うことを自制しているだけだ。このような点を考慮に入れた場合、亀井政調会長の今回の発言は、自民党内の保守系の立場を代弁するものとして解釈できる。
米国がこれを受け入れるかどうかは今のところ否定的だ。とはいえ、アジアだけでも日本に「警察国家」としての負担を一部転嫁したい米軍としては、いつかは一度検討すべきことであろう。亀井政調会長の発言はこういう点までも計算に入れたように見える。
▽亀井とはどんな人?
衆議員7選議員。東京大経済学部を卒業し、製鉄化学会社を歴て62年から警察として勤務し、77年政界に入門した。運輸相、建設相などを歴任し、森喜朗内閣で政調会長になった。以来、森総理の最側近として働いてきた。
彼は安保問題に関する限りはハト派に属する。86年10月駐日韓国大使館で開かれたある集いで「日韓間で戦争が起こらないという保障はない」との発言で波紋を投げ掛けたこともある人物。
沈揆先(シム・キュソン)記者 ksshim@donga.com