1.「新しい歴史を作る会」側の教科書
3日検定に合格した日本の「新しい歴史を作る会」(以下はつくる会)の作った歴史教科書と既存の7種の歴史教科書の内容は、韓国側から見ると満足できない水準である。韓国への加害事実が多数削除されるているか縮小されているからである。
ただ、つくる会側や文部科学省が韓国や中国からの批判を受けた部分を一部改正しようとした意思を表明した痕跡は伺える。日本の全教科書は4年毎に修正本が提出でき、問題になった「つくる会の教科書」も2004年に再び修正本が作られる可能性もある。
つくる会側は検定の合格という最大の目標を達成した。検定の過程から国内外からの関心を独占し、「宣伝の効果」も上げた。
韓国と関連して最も問題となった韓日併合や韓国の地政学的な位置、3・1運動(韓国の反日本植民地運動)、強制連行および皇民化政策、江華島(カンファド)事件と韓日修好条約などでは「強制性」を追加した。しかし、第2次世界大戦の戦犯裁判である極東軍事裁判の正統性を否定しながら「太平洋戦争」の代わりに「大東亜戦争」との用語を使用する一方、アジア諸国の独立を間接的に支援したと抗弁した部分もある。
一方、日本の加害事実は扱わないように努力した。代表的な事例が、日本軍慰安婦に関する記述を除外したこと。日本軍慰安婦の記述を教科書から削除しようとするのが同団体の設立目的の一つであり、彼らとしては成果を上げたわけである。
執筆者である「つくる会」の会長である西尾幹二電気通信大の教授は、最近、ある雑誌とのインタービューで文部省の修正要求に不満を示しながらも「勿論、日本軍慰安婦に関する記述は一行も書いていない」と自慢したこともある。
2.既存の7種の教科書
既存の7種の教科書も国内外の関心がつくる会側の教科書に集中されている間に、コッソリと韓国と関連した記述のうち、加害事実を大幅削除するか減らしてしまった。初めて出版される「つくる会」の教科書とは違って7種の教科書は、第一線の学校で「既得権」を享受してきたために、日本の歴史教育に直接的な影響を及ぼすものと予想される。
現行の7種の教科書はいずれも「日本軍慰安婦」に関する記述はしていたものの、今回、4種の教科書がこれを完全に削除した。2種は「非人道な慰安施設には日本軍のみならず朝鮮や台湾などの女性もいた」と書き直し、苛酷性や強制性を弱化して表現した。また、全教科書の使っていた「侵略」との表現も6種の教科書から削除された。「日本軍慰安婦」と「侵略」という表現は、82年、韓国と中国の批判を受けて全ての歴史教科書が記述するようになったものである。
文部科学省は「韓国に対する加害事実が削除されるか削減された理由について、2002年から中学校の週休二日制が実施され、歴史時間が週4時間から3時間に減ったためだ」と解明した。また、日本軍慰安部については、「中学生に教えるのに適切ではないという学校側の意見が多かった。そのため、出版者が自発的に書き直したようだ」と解明した。しかし、つくる会側の根強い攻撃がこれら教科書に影響を与えたことは否定できない事実であろう。
沈揆先(シム・キュウソン)記者 ksshim@donga.com