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「試験対策薬」未成年処方が年間36万件、抗生剤使用はOECD2位

「試験対策薬」未成年処方が年間36万件、抗生剤使用はOECD2位

Posted October. 14, 2025 09:59,   

Updated October. 14, 2025 09:59


未成年者の間で、医師の処方が必要な専門医薬品が「試験・面接対策薬」「成績アップ薬」として乱用されている。健康保険審査評価院の資料によると、過去5年間で0~19歳の小児・青少年に処方された不整脈・狭心症・高血圧など心血管疾患治療薬「インデノール(Indenol)」は計170万件に上った。昨年だけで約36万件に達し、5年間で1・4倍に急増した。注意欠如・多動性障害(ADHD)治療薬を処方された小児・青少年も昨年12万人を超え、5年間で2.6倍に増えた。

受験生の間で「試験・面接対策薬」として知られるインデノールは、交感神経を遮断して心拍数を下げ、血圧を下げる作用を持つ。本来は心血管疾患の治療薬だが、不安時の身体反応を和らげる「精神安定剤」のように消費されているのだ。受験生や就活生の間では「修学能力試験(日本のセンター試験)の模試で効果を感じた」「面接で緊張しなかった」といった根拠のない口コミが広がり、インデノール処方が流行のように拡散した。特にオンライン診療プラットフォームを渡り歩いて「処方ショッピング」をしたり、互いに薬を分け合うケースもあるという。

しかしインデノールは、医薬品情報に明確に「未成年者投与禁止」と記されている。それにもかかわらず、医師が処方時に参考にする医薬品適正使用情報(DUR)には年齢制限が設けられていない。このため、治療目的を逸脱した未成年者への処方が横行し、乱用と副作用の懸念が高まっている。ADHD薬も治療のために服用する子どもが多い一方、集中力を高める効果を期待して「勉強薬」として無分別に使用される例が増えている。

医薬品であっても、依存性が生じれば乱用に至る。しかも幼い年齢で接すると、依存の制御は難しい。だからこそ、薬は治療目的に限り、用量を守って厳格に使うべきものだ。保護者や児童生徒が「薬一粒で成績向上」を期待して安易に処方を求めてはならないし、医師も適応症が疑わしい場合に軽々しく処方してはならない。一時は減少傾向にあった抗生剤の使用も、2023年には経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で2位となり、再び増加に転じた。社会全体で薬物使用に対する心理的ハードルが下がっているのではないか、改めて自省し、警戒心を高める必要がある。